新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

トスカーナ⑥ ピエンツァの渓谷美は、地域の人びとの努力によって維持される「世界文化遺産」

2020-10-12 | イタリア・トスカーナ

 ピエンツァの町は前回紹介したように丘の上にある。それで、町から見下ろすと、オルチャ渓谷の見事な美しさが眼前に展開する。春5月中旬の渓谷は、緑のじゅうたんが果てしなく広がっていた。

 小路を通って渓谷の見える場所へ移動した。

 すると、薄曇りではあったが、周囲の広々とした田園風景が一気に目に飛び込んできた。

 糸杉の並ぶ道の先に、まるでしつらえたかのような一軒家がポツンと佇む。

 緑の草原は、まるで自らが光を放っているかのように輝く。

 その風景が、どこまでもどこまでも続いている。

 手前の林も、いい塩梅にアクセントをつける。

 いつまで見ても見飽きない新緑の風景。これがオルチャ渓谷。

ただ、この風景は地域の人びとが牧歌的な景観を損ねないように、ていねいに土地を耕して維持されているものだ。

従ってこの世界遺産は「自然遺産」ではなくて「文化遺産」として登録されている。これも特筆すべきことだと思う。

 

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トスカーナ⑤ ピエンツァ。時の法王が目指した理想郷造りが挫折。その痕跡が世界遺産に。

2020-10-09 | イタリア・トスカーナ

 この日2番目の目的地ピエンツァに向かう。

ピエンツァは15世紀、時のローマ法王ピウス2世が、生まれ故郷のこの町を理想の都市にしようと、一人の建築家に全権を委任して構想実現を目指した場所。もともとこの町の名前はコルシニャーノだったが、法王は自分の名前を取ってピエンツァと改名させたという。

ただ、法王の死(1464年)によって改造計画はスタートから5年後で中断、理想郷計画は夢物語となってしまった。

しかし、当時建設された建物は今も残り、内部の改良などで歴史的景観を残していて世界遺産に登録されている。

 バスが近づくにつれてピエンツァの町がはっきりしてきた。ここも丘の頂上にこじんまりとした街並みが形成されている。人口2300人、東西400mほどの距離にまとまっている町だ。

 バス停は町の西端。ムレッロ門をくぐると町内だ。通りの家々には花が飾ってあったりと、清潔な雰囲気だ。

 ロッセリーニ通りに来た。この辺が中心街で、先に見える塔はピッコロミニ宮殿。ピウス2世広場のある所だ。

 広場は緑が配置されて落ち着いた空間になっている。ただ、理想郷を目指したにしてはあまりにも狭い感じで窮屈そうにも見える。

 奥のロッジャのある建物が市庁舎。

 ピッコロミニ宮の前に大きな井戸があった。これを含めてピウス2世が全権委任した建築家ロッセリーニの手による設計だ。

 ロッセリーニは、15世紀にフィレンツェ風の街づくりを目指したのだが、結果として目標通りにはならないうちに法王の死を迎えてしまった。

 ピッコロミニ宮横では、学生たちが校外学習の最中だった。

 土産物店の店先にはピノキオの人形が置いてあった。そういえばピノキオの原作はイタリアの作家だったっけ。

 

 

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トスカーナ④ サンクイリコの村。やっと雨が上がったが、時間がない。あわててバスに飛び乗った。

2020-10-06 | イタリア・トスカーナ

 ようやく青空も見え始め、散歩を再開した。村に続く道路を見下ろす。中央奥の山頂に集落が見える。あれが今朝出発したモンテプルチャーノの町だ。

 少しアップしてみる。あんなに山頂に細長く街並みが続いている。

 下の平原に一軒だけの家。いかにもオルチャ渓谷の風景。

 手前の家に陽が差してきた。軒に飾られた花の赤が映える。

 石造りの道と建物。私好みのカーブのある道を歩く。

 途中、金物屋の店を発見。いろんな道具がまるでインテリアのように飾ってある。

 時計台のある建物に出会った。S・M・ビターレ教会かな。

 正面入口はこっちのようだ。けど、時計を見るとバス時間が迫っている。中に入る時間がない。

 急いでバス停に戻った。途中の道はもう路面が渇き始めていたが、村人たちには全く合わなかった。

元々短時間の滞在予定だったが、そこに豪雨が重なって、この村は満足な見学もできず、心残りのまま次の町ピエンツァ行のバスに飛び乗った。

 

 

 

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トスカーナ③ オルチャ渓谷の真ん中、箱庭のような村サンクイリコ・ドルチャ。でも雨が・・・

2020-10-03 | イタリア・トスカーナ

 この日は朝一番でオルチャ渓谷の2つの村を巡るプランをスタートした。朝7時にモンテプルチャーノからバスに乗り、サンクイリコ・ドルチャに向かう。

 早朝に降り出した雨が。サンクイリコに着いた時には土砂降りになっていた。

周囲の風景も霞んでしまっている。

 ダンテ通りを歩く。通りの名前が凄すぎる。

 雨宿りを兼ねて開いていたカフェに飛び込んだ。朝の定番カプチーノを飲みながら、天気の回復を待った。

 この間ピエンツァ行きのバス時間を尋ねたら、私が調べてきた時刻表は改訂されていて、予定よりも1時間も後の時刻になっていた。聞いてよかった。

カフェで待機中、サンクイリコの沿革を復習した。この村は世界遺産に登録されたオルチャ渓谷の中にある。西はモンテプルチャーノ、東はピエンツァに囲まれた標高410mの丘に位置していて、人口は約3千人という小さな村だ。

しばらく待ったが雨はまだ止まない。教会にでも入ろうか。

 通りの向こうに教会のファザードが見えた。あれはサンフランチェスコ教会。塔とバラ窓が目を引く。

 中に入った。創建は8世紀だが、12世紀にロマネスク様式として再建され、その後翼廊も加えて今の姿になったという。小規模な教会だが、歴史は古い。ということは、この村の歴史も古いということだ。

 聖母子像を中心とした祭壇画はなかなかのもの。

 こちらの聖母像は祈りの姿だ。

 そのシルエットがまた美しい。(雨宿り中なので、時間を持て余し気味。影の写真を何枚も撮って遊んでいた)

 どうにか雨も小降りになって来たようだ。外をのぞいて気付いたのだが、扉口に、ちょっと怖そうな奇妙な彫像を発見した。

 ようやく雨が止んだ。別角度からの鐘楼を1枚。

 井戸を発見。水汲み桶の造形が面白くてここも1枚。

 すっかりお世話になった教会の、側面からの姿はこんな風だ。

 やっと外歩きを始めた。と、すぐに見つけた家のかわいい看板。「おばあちゃんの家」と書いてある。たぶん民宿のようだ。

 

 

 

 

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トスカーナ② キアーナ渓谷の広い草原に際立つサン・ピアージョ教会。菜の花と青空に癒される

2020-09-29 | イタリア・トスカーナ

 モンテプルチャーノは大雑把に「オルチャ渓谷の町」と思って旅に出たのだったが、現地に着いてみると、この町はオルチャ渓谷の外れにあたり、目の前の谷はキアーナ渓谷なのだそうだ。

 でも、この渓谷が美しくないというわけではない。

 赤レンガの家々が手前に並び、その先に緑の風景が広がる。丘陵にはオリーブ畑、ブドウ畑、小麦畑などが全面に展開している。

 家々の屋根も面白い。

 中でも眼下に見えるサン・ピアージョ教会は、渓谷の中のランドマークとしても際立っている。

 高いクーポラを持つゴシック調の建物。

 少し陽が傾いて、教会の壁面に赤味が差した時は、一層印象的だ。

 もう1つ立派な建物が見えた。ここは墓地なのだそうだ。時折野鳥のさえずりも聞こえてのどかな気持ちにさせられる。

 糸杉の林もあちこちに。この日は強風が吹いて、空の雲も流れるように筋がついている。

 そして満開の菜の花。目にも鮮やかだ。

 

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