新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 パリ編㊲ セルジュ・ゲンズブール 伝説の歌手の家が改装され 一般公開された

2025-01-28 | 心ふるえる風景 パリ編

 セーヌ川左岸 カルーゼル橋からほんの少し南に行ったところにこの家はあった

 フランスのカリスマ的歌手で俳優でもあった セルジュ・ゲンズブールの自宅

 彼はヒット曲を世に出すとともに センセーショナルな言動で

 何度も人々の話題となった 伝説的な人物だ

 

 その彼がジェーン・バーキンと親密になった翌年

 1969年から二人で暮らし始め 死去する1991年まで過ごしたのがこの建物

 彼を慕うファンたちが 壁面に二人の似顔絵を描いたり

 「愛しています」などのメッセージを書き込んだり

 その内容は 数日見ないうちに新しく変更されていたりするほどだ

 ある年 私はこの家から数百メートルという場所のホテルに滞在したため

 一日に何度もこの家の前を通り 壁に見入るファンたちの姿を見つける毎日だった

 

 つい最近知ったことだが この家が2023年に「ゲンズブールの家」として

 広く一般公開されたということだ

 娘のシャルロットの手で整備され 愛煙した煙草ジタンの吸い殻で一杯の灰皿や

 愛用した楽器 レコードなど想い出がぎっしり詰まった内容になっているという

 ああ もう一度訪れてみたいなあ・・・

 

 

 

 

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心ふるえる風景 パリ編㊱ パリの墓地 小雨模様の中 ショパンは花束に囲まれて永遠の眠りについていた

2025-01-25 | 心ふるえる風景 パリ編

しばらく中断していた「心ふるえる風景」を再開します。

 ピアノの詩人フレデリック・ショパンは1831年、21歳でパリに移り

 39歳で病死するまでの18年間のほとんどをパリで過ごした

 従って彼の遺骸は パリの墓地に埋葬されている ペール・ラシェーズ墓地

 彼の墓は 墓地の中央入口からほど近い場所にあった

 墓石の上部には うつむく少女の像があり 

 石碑の中央にショパンの横顔と名前が刻まれている

 墓前には花束が絶えず 私が訪れた時も何人もの参拝者の姿があった

 

 パリ中心部のマドレーヌ聖堂で行われた葬儀には 3千人もが集まったといわれる

 その際 彼の心臓は故国ポーランドに戻されたが

 こちらの墓の遺体の上には 故国の土が撒かれたという

 

 墓の前にたたずんでいると どこからともなく彼の遺作「ノクターン20番」の調べが

 地面から湧き上がってくるような 幻想にとらわれる気がした

 一時期彼とジョルジュ・サンドが暮らした場所にある ロマン派美術館には

 彼の左手の「デスハンド」が保存されている

 あの繊細なメロディを紡ぎ出した天才の手は 

 意外にもというべきか 当然というべきか

 節々の関節が目立つ 力強いフォルムのまま残されていた

 

 

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よさこい讃歌2024㉔ 「死んだ女の残したものは しおれた花とひとりの子供」 柳葉魚のざわめき 駿河リゾート TOKYO PHANTOM ORCHESTRA

2025-01-21 | よさこい讃歌

「柳葉魚のざわめき」(東京都新宿区)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 死んだ男の残したものは ひとりの妻とひとりの子供

 他には何も残さなかった 墓石一つ残さなかった

 

 死んだ女の残したものは しおれた花とひとりの子供

 他には何も残さなかった 着物一枚残さなかった

 

 死んだ子供の残したものは ねじれた脚と乾いた涙

 他には何も残さなかった 思い出一つ残さなかった

 

 死んだ兵士の残したものは こわれた銃とゆがんだ地球

 他には何も残せなかった 平和一つ残せなかった

 

 死んだかれらの残したものは 生きてるわたし生きてるあなた

 他には誰も残っていない 他には誰も残っていない

 

 死んだ歴史の残したものは 輝く今日とまた来る明日

 他には何も残っていない 他には何も残っていない

                                (谷川 俊太郎) 

 

「駿河リゾート」(静岡県沼津市)

 

 

[TOKYO PHANTOM ORCHESTRA」(東京都)

 

 「よさこい讃歌2024」は今回で終了です。ご訪問いただいてありがとうございました。

 次回からはまた「心ふるえる風景」シリーズを再開する予定です。

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よさこい讃歌2024㉓ 「僕を包んで抱きしめたまま 歩いてくれるものをください」TACYON さぬき舞人 燦 

2025-01-18 | よさこい讃歌

「TACYON」(高知県)

 

 

 

 

 

 時間を ください

 力を ください

 気持ちを ください

 終わりのない 歌をください

 

 僕を包んで 抱きしめたまま

 歩いてくれる ものをください

 何にも 惑わされないように

 強く思いつめたまま 生きて行けるように

 

 僕の胸は 苦しくて

 こんこんと 咳みたいに

 悲しさが 零れ落ちる

 

 ぼくの心は 自由だから

 ふわふわと 煙のように

 淋しさが さまよい歩く

                                (銀色 夏生)

「さぬき舞人」(香川県さぬき市)

 

 

 

 

「燦-SUN」(東京都)

 

 

 

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よさこい讃歌2024㉒ 「もはやいかなる権威にも 倚りかかりたくない」 旅鳥

2025-01-14 | よさこい讃歌

「旅鳥」(東京都、山口県)

 

 

 

 

 

 

 

 もはや 出来合いの思想には 倚りかかりたくない

 もはや 出来合いの宗教には 倚りかかりたくない

 

 もはや 出来合いの学問には 倚りかかりたくない

 もはや いかなる権威にも 倚りかかりたくない

 永く生きて心底学んだのは それぐらい

 

 自分の耳目

 自分の二本足のみで 立っていて

 何不自由の ことやある

 

 倚りかかるとすれば

 それは 椅子の背もたれだけ

                               (茨木 のり子)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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