新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ブールジュ⑥ ベリー公の眠る地下は、中世で最も明るく美しい地下礼拝堂だった。

2020-08-18 | フランス・ブールジュ

 ブールジュ大聖堂屋上から一転して今度は地下室へ。ちょうど地下礼拝堂のガイドツアーが始まる所だったので、参加してみた。地下へ降りて行く。

 まず目につくのはジャン・ド・ベリー公の墓。ベリー公はフランス王ジャン2世の第3王子で、百年戦争中期のフランス最有力貴族の一人。ブールジュを含む西フランス地方を支配して栄華を誇った。彼が画家ランブル兄弟に描かせた「ベリー公の華麗なる時祷書」は有名だ。

 ベリー公はガウンを着て、黒大理石のテーブル上に横たわっている。

 横に最初の妻ジャンヌ・ダルマニヤックがひざまづいて祈りを捧げている。

 死せるキリストを悲しむ「ピエタ」の群像があった。中央で聖人たちに支えられる聖母マリアの姿もある。劇的な光景だ。

 端正な聖母子像。

 こちらはキリストが十字架に架けられるところ。脇の人物の腕が欠けてしまっている。

 こちらも顔が欠けている。これらは大聖堂壁面などにあったもので、修理を待っているところのようだ。

 群像の胴体が真ん中から割れてしまっている。長年のうちに至る所で修理が必要になってくるようだ。

 そんな中で印象的な顔つきだったのがこの像。なかなか荘厳な雰囲気の中にも優しさが感じられる表情で、この聖人なら悩み事もしっかり聞いてくれそう。

 このほか修理を待つ像たちがずらりと待機していた。

 こちらは柱のつなぎ目かもしれない。

 こんな風に何体もの像が待機中だった。

 それにしても地下室なのに実に明るい。周囲に12もの窓が設けられており、13世紀建設の地下礼拝堂の中では最も明るく美しいと評されている。

 

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ブールジュ⑤ 「バターの塔」から三角屋根が続くブールジュの街並みを見下ろした。あ、白川郷に似てるぞ!

2020-08-14 | フランス・ブールジュ

 ブールジュ大聖堂の屋上に上った。ブールジュの街は茶系とグレー系の屋根がどこまでも続いている。

 屋上へは高さ65mの北塔にだけ上ることが出来る。

 この塔は1506年に崩壊したことがある。再建しようとしたが、資金が足りない。そこで編みだしたのが、断食の時期でもバターを食べられるという権利。これを教会が売り出した。その利益で塔の建設費用を捻出して完成にこぎつけた。そのため北塔は「バターの塔」という別名が付けられている。

 屋上への出口がここ。

 釣り鐘もついていた。

 すぐ前に見えるとんがり屋根は南塔。北塔よりも低いので先端部分だけが見えている。その奥にあるのが旧市役所の建物だ。

 家々の屋根はかなり急こう配の傾斜がついている。

 しかも、その屋根の面積がとても大きい。まるで世界遺産・白川郷のかやぶき屋根の集落を見ているようだ。この地方はそれほど雪が降るわけでもないだろうに。

 アップしてみると、縦方向はこんな風に細い三角屋根だ。

 遠くに湖のような場所があった。後で調べてみたが、名称は不明。

 真下を見る。尖ったフライングバットレスがずらりと並ぶ。

 修理中の屋根修復方向。こうして見ても、この大聖堂は建物の中ほどに横に走る翼廊(トランセプト)がないことがわかる。

 飛び出しているのがガーゴイル。上から見ると、確かに雨どいの役割を果たしていることがよくわかった。

 

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ブールジュ④ 「ブールジュルージュ」鮮やかな赤で装飾された5世紀にわたるステンドグラス

2020-08-11 | フランス・ブールジュ

 次にスタンドグラスを見て行こう。ここでは13世紀から17世紀にかけてのバラエティ豊かなステンドが一気に鑑賞できる。

まずは13世紀のものから。最後の審判を描いたもの。

 これは放蕩息子。

 いずれも聖書の物語をテーマとして描かれているが、非常に細かく繊細な図案が多い。なかなか素人にはその内容を読み解くことは困難だ。

 ただ、色彩を中心に鑑賞する方法もある。ここのステンドグラスは赤がとても鮮やかだ。フランスの大聖堂の中でも青が有名なシャルトル大聖堂の「シャルトルブルー」に対して、ここは「ブールジュルージュ」として高く評価されている。

 描かれた人たちの姿も、アップにしてみれば結構わかりやすく、タッチも柔らかい感じがする。

 本当なら1つ1つの物語をじっくりと解説付きで鑑賞したいと思った。

 よく見れば人物たちが生き生きと躍動している。

 そして、青だってとてもいい色だ。

 15世紀以降のステンドグラスは、やはり人物描写のタッチが全く異なっている。これは「使徒たち」。

 「聖ラウレンティウスと聖ステファノ」。16世紀のものだ。

 13世紀に比べて人物たちより装飾がかなり多くなってきている。

 周辺の装飾がこんなにもすごいものまであった。

 聖母の生涯を描いたステンドグラス。これも読み解くのは困難を極めそうで、端からあきらめた。

 最後にバラ窓。見事な豪華さだ。

 

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ブールジュ③ ステンドグラスの光の粒が、大聖堂の床に色模様を広げた

2020-08-07 | フランス・ブールジュ

 中に入ると広々とした空間が広がる。

 天井は中央の身廊が一番高く37m。両側の側廊が少し低くなるような3層の高低差のある構造になっている。

 柱上部にはアーチが架けられ、優雅な姿に仕上げられている。

 シャンデリア。大きく複雑な形で、私の記憶の中では他の聖堂ではあまりお目にかかっていない。

 そんなシャンデリアが幾つも吊り下げられているのも、ここの大聖堂の特徴の1つかも。

 意外にもこの大聖堂内部にはあまり彫像が目立たなかったが、それだけにこの銀の聖母子像は異色の輝きを見せていた。

 ちょうど夕日が差し込む時間帯で、並べられた椅子の影が長く長く聖堂の床に伸びていた。

 これもある時間帯だけにしか見られない光景だ。

 そして、ステンドグラスの色模様が、柱にも移って赤く染まった。

 こんな風に点々の色模様が描かれた場所も。

 角度を変えて見ると、椅子の影からつながって光の粒が続いているように見える瞬間もあった。

 

 

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ブールジュ② 大聖堂南扉口。長身の聖人たち。傷ついても尊厳を保つキリスト像。

2020-08-04 | フランス・ブールジュ

 ブールジュ大聖堂の後ろ側に回ってみた。西正面と違って荒々しい表情の、ゴシックの特徴がよく出ている。

 天井の重量を支えるフライングバットレスがそそり立つ。

 まるで剣の切っ先のようにとがった形だ。

 南扉口左側。長身の聖人たちが整然と並ぶ。

 扉口の中心には聖なるキリストの像。ちょっと顔面が傷ついているようだ。

 でも崇高な顔立ちであることはよくわかる。

 こちらは南扉口右側。同様に聖人像が並ぶ。

 タンパンには鳥や動物たちが配置されている。

 扉口の上部に面白い形の穴があけられている。

 そこを通して見上げる空には、次々と雲が流れていた。夜には雨になるかも。

 大聖堂裏の公園にあった群像。楽しそうに踊る子供たちの幸せな様に、ちょっと見とれた。

 さあ、それでは大聖堂の中に入ってみよう。

 

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