朝は快晴で 青空が広がりました。
毎週の 母のスネの注射も 昨年夏からもう 半年以上がすぎました。
同じ曜日に通っていると 週一で注射にくるメンバーは 顔見知りになります。
年配者は皆同じく歩幅が狭く はたかって歩く人で待合室はあふれ 受付嬢も
耳の遠い患者に対応すべく 大声で呼び出しております。
あ はたかって歩く って解ります?
この場合は 足を大きく開いて歩くさまで この歩き方では決して 体操競技の
平均台上は歩けません。
第1幕 診察室のベッドの上
先生 〇〇さん どうですか? 痛みは和らいでいますか?
母 はい おかげさまで ずいぶんよくなりました
娘 いや 先生 立ちあがったときと 歩き初めには ずいぶん痛がります
先生 そうですか
〇〇さん おいくつでしたかねぇ?
母 はい 先生 あたしゃ かぞえで 75ばぁ じゃったと思います
娘 。。。 。。
先生 お若いので 注射を変えてみましょうか
娘 あ いや 先生 母は ほんとは86です
先生 ‥‥そうですか
それじゃあ 今までの注射を続けましょうね
母 。。。 。。
第2幕 病院を出た直後
母 ねぇ あたしゃ いくつに なったがじゃったかね?
娘 まんでゆうたら 今年は87になるきね
母 はぁ~~ 87にもなるかね はぁ~~ 怖ろしいもんじゃね
ご先祖さまでも そろぉど長生きした人は おらざったきねぇ
娘 あたしが 60をだいぶ すぎたきね
母 ええっ! あんた もうそんな歳になったかね‥‥
ありゃあ~ いつの間に そろぉど おばあさんになったぞね?
娘 さぁ あたしにも 分からんけんどね
母 歳だっけは 天皇陛下でも 買えんきにねぇ
第3幕 施設へ帰り着いて
職員 〇〇さん お帰りなさい 注射は痛かったでしょう?
母 たいして痛とうはないですよ
今日は歳を聞かれてねぇ そんで まちがわんと 70とゆえました
職員 そう それはよかったですね
娘 。。。 。。
次回 歳を聞かれたら 母ちゃんはきっと 娘よりはるかに若くなるでしょう