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ゲノム編集で雨に濡れても穂についた実が発芽しにくいコムギを開発

2019-08-09 | 科学・技術
 岡山大学や農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)などの研究グループが、「遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集の技術を使って、雨に濡れても穂についた実が発芽しにくく、商品価値が落ちないコムギを開発した。」と発表した(報道解禁:令和元年7月31日)。研究グループは、岡山大学資源植物科学研究所の佐藤和広教授、農研機構の安倍史高主任研究員らを中心に帯広畜産大学や横浜市立大学の研究者も参加した。研究成果は米科学誌「Cell Reports:セルリポーツ」に掲載された。
 コムギとオオムギは共通の祖先から300万年前ころに分かれたとされており、それぞれ7対の染色体からなる類似したゲノムをコムギは3組、オオムギは1組もっている。
 コムギは6000年以上前に3種類の異なる植物が自然に掛け合わさってできたことが分かっているが、全遺伝情報であるゲノムを人間のように1組ではなく、3組(Aゲノム、Bゲノム、Dゲノム)持っている。それぞれのゲノムは7対の染色体からなる。このように複数のゲノムがあり、類似した遺伝子を重複して持つ植物の特性を改良することは、これまで難しかった。
 研究グループは、1つのゲノムしか持たないオオムギで見つかった「Qsd1」と呼ばれる遺伝子に着目した。Qsd1は、「種子休眠」という発芽に適した条件になっても発芽しない現象に関わり、この遺伝子が働かないと種子の休眠が長くなることが分かっていた。種子の休眠が長いことはムギ類を含めた穀物が雨によって発芽してしまうことを防ぐための重要な特性という。
 研究グループはゲノム編集の「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)」という技術を使い、コムギが持つ3組のゲノムそれぞれにあるQsd1に相当する遺伝子を一度に改変。Qsd1が働かず、発芽しやすい環境におかれても発芽しにくいコムギをつくった。そして穂の状態で種子に水をかけて濡らす実験を続けたが、通常のコムギと比べて発芽が目立って遅れたという。
 収穫時の降雨によってコムギのような穀物が穂に種子が付いたまま発芽してしまう現象は「穂発芽」と呼ばれる。穂発芽したコムギから製粉した小麦粉は、品質が劣化して商品価値が著しく下がる。農研機構などによると、穂発芽による経済損失は大きく、日本国内の例として知られる2016年の北海道での被害額は140億円に上るという。
 今回の成果について研究グループは、日本や北欧のように収穫期に雨が多い地域のコムギを雨にも強くできると期待され、経済的効果や技術開発の面での意義は大きい、としている。
 ◆用語説明
 〇ゲノム
 それぞれの生物が持つ遺伝情報の一セット。全DNA 塩基配列を指すこともある。
 〇遺伝子と変異
 遺伝子は、「メンデルの法則」で有名なメンデルが、親から子へ受け継がれていく遺伝物質として仮定した因子であり、実際にはDNA 配列の一部を指す。細胞中の蛋白質を構成するアミノ酸の配列は遺伝子のDNA 配列が決めている。このため遺伝子は蛋白質の設計図であり、蛋白質がいろいろな機能を発揮することを通じて生物の形質を決定している。遺伝子の変異は塩基配列が変化することで、この変異によっては蛋白質の性質の変化が引き起こされることがある。
 〇ゲノム編集
 DNAを切断する酵素等を用い、特定の遺伝子配列を標的として、その遺伝子配列内に変異を導入する技術。標的とした遺伝子以外への変異の導入は極めて少ないことが知られている。ゲノム編集では、変異を導入するために外から組み込んだ遺伝子は除くことが可能であり、また最近では、外来遺伝子を組み込まない技術も確立されつつあるため、この技術で出来た植物は従来の突然変異(育種)により生じた植物(品種)と遺伝子配列上の違いがない。
 〇種子休眠と穂発芽
 種子休眠とは、植物の種子が発芽に適した条件(温度、水分)においても発芽しないこと。休眠が短いと、コムギでは穂に種子がついたまま発芽してしまう「穂発芽」が起こりやすくなります。穂発芽したコムギから製粉した小麦粉は品質が劣化して、利用価値が著しく下がってしまう。
 〇CRISPR/Cas9
 ゲノム編集技術の手法の一つ。細菌など原核生物の持つ免疫系を活用していて、DNA を切断するハサミの役割を果たす。使用に際して設計が容易なこと、効率が高いことなどからゲノム編集技術の中で最も多用されている。
 〇アグロバクテリウム
 土壌細菌の一種で、宿主となる植物に感染し、自身の持つ植物細胞の増殖を促す遺伝子と自身の栄養を合成する遺伝子を宿主に組み込み、そこで増殖する微生物。遺伝子配列を置き換えることで、外から植物に目的とする遺伝子を組み込むことが可能となる。

 雲が多い晴れ。気温は高く、最高気温34℃・・暑い。早朝(朝4時)に畑に出かけ、”ズッキーニ”の収穫、雑草取り・・日の出前は少し涼しい。
 昔住宅があった空地、”サルスベリ”の赤い花が咲いている。樹高が1m程の幼木だ。”サルスベリ”は夏を代表する花木、暑い・暑いと言いながら夏は過ぎていく・・。
 ”サルスベリ”は、漢字で「百日紅」、開花期間が長いからかな。花は一度咲いた枝先からまた花芽が出て花が咲くので咲き続けているように見える。”サルスベリ:猿滑”の由来は、木の肌が滑らか(すべらか)なので猿も滑りそうとの事からと言う・・実際にはサルは滑らない。
 サルスベリ(猿滑)
 別名:百日紅(ひゃくじつこう)
    開花期間が長い(百日間紅色の花が咲く)ところに因む
 ミソハギ科サルスベリ属
 落葉中高木
 中国南部の原産、江戸初期に渡来か
 開花時期は7月~10月
 花色は紅紫色~淡紅紫色・白色
 花は円錐花序で、咢(がく)は筒状で6裂、花弁は6枚でちりめんの様に縮れている
 花後に果実(球形や楕円形)を付ける
 果実は蒴果(さくか:成熟すると裂開するもの)で熟すと6裂して種が散る
 種には薄い羽のような翼(よく)が付いている