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ヒトが進化の過程で失った遺伝子が動脈硬化をもたらす

2019-08-23 | 医学
 心臓発作は人間によく見られる疾患である。心臓疾患は人類の死亡原因の多くを占める病気で、2016年には全世界でおよそ1790万人が心臓疾患により死亡しており、全死亡件数の3割に当たる。その内の85%は「アテローム性動脈硬化症」による心臓発作だった。しかし人類と遺伝子的に近縁関係にあるチンパンジーでは、心臓発作は非常にまれな病気である。
 長い間、なぜ人にだけ心臓病がよく見られるのか分かっていなかった。研究グループによると、およそ200万~300万年前に人類の祖先が進化上、ある遺伝子を失っていたことが原因だと判明した。その遺伝子が「CMAH」である。
 筑波大学の川西邦夫助教らの研究グループは、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校で行なった研究において、ヒトが進化の過程で失った遺伝子CMAHが、動脈硬化の原因となる可能性を発見した。
 哺乳類の細胞表面を覆う糖鎖の末端に位置するシアル酸にはNeu5AcとNeu5Gcがあり、「CMP-Neu5Ac水酸化酵素(CMAH)」がNeu5AcをNeu5Gcに変換する。ヒト以外のほぼ全ての哺乳類がCMAHを持ち、Neu5Gcを含む糖鎖を合成している。ヒトは200万~300年前にCMAHの機能を失ったとされ、Neu5Gcを合成できない。微生物の多くが、細胞の糖鎖末端に位置するシアル酸を認識して宿主に感染する。Neu5Gcがないことでヒトが他の哺乳動物と共存しても、人畜共通の感染症にかかりにくいとされる。
 研究グループは、ヒト同様にNeu5Gcを合成できないCMAH欠損マウスは、野生型マウスよりも進行した動脈硬化病変を形成することを発見した。さまざまな分析・研究により、赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉など)の過剰摂取は心臓血管病や大腸癌のリスク因子と分かっている。ヒトは抗Neu5Gc抗体を持ち、赤身肉はNeu5Gcを多く含む。そこで、CMAH欠損マウスに抗Neu5Gc抗体を惹起させ、Neu5Gcを含む食事を与えたところ、他の実験条件と比べて動脈硬化が悪化することが分かった。
 これにより、ヒトでの赤身肉摂取によるNeu5Gcの蓄積と、抗Neu5Gc抗体による微小炎症が動脈硬化進展に関与する可能性が示唆された。今後、動脈硬化や大腸がんなどに対する新たな予防法や治療戦略への発展が期待される。
 因みに、CMAH遺伝子が欠如しているのは悪いことばかりではない。例えば、人類が長距離走行に長けているのはCMAH遺伝子の欠如のおかげだ、とバーキ教授は説明している。

 早朝は小雨。日の出の頃から曇り、時々小雨、時々晴れ。
 空地で、”ナツズイセン”が咲いている。雑草も一緒に茂っている。花は、”ユリ”に似て、茎の上部に数本纏まっている。
 名(ナツズイセン:夏水仙)の由来は、葉・球根が水仙(すいせん)似で、夏に花が咲くからと言う。でもこの花はユリ科ではなく、ヒガンバナ科なので、花期には葉がない。この様な花茎と花だけの姿から、”裸百合(はだかゆり)”とも呼ばれる。”リコリス:Lycoris”とも呼ばれるが、リコリスは学名の”Lycoris(ヒガンバナ属)”なので、彼岸花・狐の剃刀・夏水仙などの総称でもある。
 ナツズイセン(夏水仙)
 別名:裸百合(はだかゆり)、リコリス
 学名:Lycoris squamigera
 ヒガンバナ科ヒガンバナ属
 多年草(球根植物)
 古い時代に中国から原種が渡来した
 開花時期は8月、1ヵ月ほど後に”ヒガンバナ”が咲く
 春にスイセンに似た葉を出し、夏に枯れる
 葉が枯れると花茎が伸び、ユリ様の花を数個つける
 花色は淡紅紫色