(承前)
いちばん見たかった個展の会場を、満足しつつ後にして、東麻布の街中を抜ける。
どこかで目にしたことのある店が何軒かあるなあ―と思っていたら、どうやら「アド街ック天国」で流れていたようだ。
全国的な名所ならいざ知らず、非常にローカルな店などが全国に流れてそれを自分が知っているのもなんだかおかしな気がする。あの番組でとりあげるのは東京がほとんどなので、景勝地などがほとんどないのも、道 . . . 本文を読む
(承前)
川田喜久治さんは1933年(昭和8年)生まれの写真家。
エージェンシーVIVOを、奈良原一高、東松照明、細江英公氏らとともに発足させた(1959~61)、日本の戦後写真界を代表する一人である。
第12回東川賞を受賞している。
筆者は2009年、今回足を運んだPGIのギャラリーがまだ湾岸の芝浦にあったころに彼の個展を見て、驚嘆した。なので、今回の上京にあたって、いちばんはじめに見 . . . 本文を読む
(承前)
用事で神田小川町近辺に行ったあと、また少し時間ができた。
せっかくなので、ツイッターでときどき会話している「Shirosan001」さんからおすすめされていた、古書会館での「浮かび上がる検閲の実態」展をのぞいてみることにした。
美術展ではないが、冒頭画像にあるような美術関連書も展示されていた。
筆者は以前『検閲と文学 1920年代の攻防』を読んだことがあり、この分野の基礎 . . . 本文を読む
(承前)
六本木でもう2カ所、Shugo Arts(シュウゴアーツ)と小山登美夫ギャラリーに立ち寄った。いずれも、おなじ「complex666」ビルの中にあり、前項で立ち寄った「ピラミドビル」や、地下鉄の六本木駅に近い。
なかなかしゃれた建物だが、先のWAKO WORKS OF ART といい、このビルといい、若いアート好きが引きも切らず訪れているので、それほど気後れすることなく入ることがで . . . 本文を読む
(承前)
渋谷を出て、メトロの半蔵門線と都営地下鉄大江戸線を乗り継いで、六本木へ。
リヒターは1932年生まれ、ドイツの画家。
画廊は手前の大きな部屋と奥の小さな部屋からなっており、手前に「abstract paiting」の新作(世界初公開作を含むという)が、奥には1992年からの旧作が展示されている。
遠くから見ると一見風景写真に思われる作品などがあり、この画家が「写真がある時代に . . . 本文を読む
(承前)
昨年話題になったアルチンボルドの、果物を集めて人の顔に見立てた絵が、フライヤーなどのメインビジュアルに使われているけれど、展示されているのは美術品だけではない。1576年から1612年(日本で言えば安土桃山時代から江戸時代初期)に神聖ローマ帝国に君臨した皇帝が集めた天文学や錬金術などの書籍、珍しい動物剝製はくせい、精巧な器械などをも含めて幅広く紹介した展覧会だ。ちなみに、冒頭の画像は . . . 本文を読む
(承前)
2017年5月11日。
朝6時に家を出て、6時13分に新千歳空港行きの北都バスに乗車。
(自宅から札幌駅までが遠いので最近は快速エアポートはほとんど利用しません)
空港に着いて搭乗手続きをした後、空港内のローソンで美術展のチケットをあらかじめ買いました。
8時発のエア・ドゥ機で羽田へ。
機内でジャガバタースープとパンのサービス。
自宅で朝食は取ってきたのですが、まさか . . . 本文を読む
前回4月の東京行きは、あまりにも下調べに慎重さを欠き、国立新美術館の休館日が火曜日だということを知らずに計画を立てていました。
今回のとんぼ返り日帰り東京ツアーは、前回見ることができなかった同美術館の「草間彌生」と「ミュシャ スラヴ叙事詩」、それに東京都美術館の「ブリューゲル『バベルの塔』展」の三つが大きな目的でした。
1カ月前の反省から、新聞で天気予報をチェックし、折りたたみ傘を持参し . . . 本文を読む
(承前。冒頭画像は、東京駅の構内)
「蛍の光」が流れる Bunkamura ザ・ミュージアムを午後7時ちょっと前に出て、まっすぐ渋谷駅へ向かいました。
スクランブル交叉点で写真を撮る時間もなく、山手線と京浜急行を乗り継ぎ羽田空港へ。
その足で搭乗手続きを行い、「空弁」を買って、機内に乗り込みました。
以上で、2017年4月11日に日帰りで上京した話の記録を終わります。
最近、遠出して . . . 本文を読む
(承前)
幕末から明治にかけて活躍した絵師、河鍋暁斎かわなべきょうさいの魅力にはまったのは、2002年、東京・原宿の太田記念美術館が開いた「初公開 イスラエル・ゴールドマンコレクション 河鍋暁斎展」でした。
とりわけ「天竺渡来大評判 象の戯遊たわむれ」は、曲芸をしたり、らっぱを吹いたりする象の奇抜な絵がたくさん描かれており、いくら江戸っ子にとっては珍しい生き物だとしても「これはいくらなんでも . . . 本文を読む
(承前) 更新間隔があいて、申し訳ありません。
冒頭画像。
木村恒久の「ニューヨークの晩鐘」で、1981年の作である。
これを見たとき、ほんとうに驚いた。
2001年の事態をまるで予見しているようではないか。
すぐれた表現は予言になりうるのだと思った。
前項でも触れたパロディー雑誌「ビックリハウス」。
1974~85年に出ていたというが、実は雑誌好きの筆者としては珍しいこと . . . 本文を読む
(承前)
ひと言で言うと、大変な「労作」。
この企画力と資料博捜力を目の当たりにすると、道内美術館が企画している展覧会の多くとは、次元が違うとしか言いようがない。
それぐらい、すごい。
パロディーという、これまで展覧会としてはあまり取り上げられてこなかった主題で、絵画や陶芸、グラフィックデザインといったアートの範囲に収まりそうな作品はもちろん、各種雑誌や映像、漫画の生原稿、裁判記録まで . . . 本文を読む
(承前)
さて、神奈川県立近代美術館・葉山まで来たからには、道民としては、立ち寄らないで帰るわけにはいかない施設がすぐ近くにある。
渡島管内福山町(現松前町)出身で、戦前から戦後にかけて日展などで活躍し「新日本画」の担い手といわれた日本画家、山口蓬春ほうしゅん(1893~1971年)のアトリエに設置された記念館である。
近代美術館の前を走っている県道を渡ると
「山口蓬春記念館」
. . . 本文を読む
(承前)
感想は次の2点に要約できる。
・オーソドックスな構成で、砂澤ビッキの彫刻や絵画を紹介する展覧会
・最初にどーんと展示されているのが「神の舌」、最後にどーんと展示されているのが「風に聴く」で、いずれも札幌芸術の森美術館の所蔵品であることから、札幌市民としてはなんとなく誇らしくなってくる
図録で、神奈川県立近代美術館の水沢勉館長は巻頭論文をつぎのように書きだしている。
砂澤ビッ . . . 本文を読む
(承前)
いまでこそ日本のあちこちに美術館があるが、神奈川県立近代美術館は1951年設立で、全国の公立館で最も古い。そのためか「大正の洋画」というテーマでも、さすがに有名どころをそろえている。
われらが道立近代美術館も77年設置だから都道府県立では古参の部類に入るのだが、同じテーマでこれだけの画家をそろえることができるだろうか。
ちなみに、歴代館長で有名なのは、1965年から館長を務めた土 . . . 本文を読む