20241226
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2024二十四節気12月(4)寝付く私に100万本のバラを
寝つきのお供に、眠くなりそうなむつかしめの本を読むのも、目がしょぼしょぼになって以来、数が減りました。(推理小説は一晩で読んでしまうために寝つき用にはならない)
本のかわりに、このところyoutubeを聞きながら寝る。ときには夜中に目覚めてイヤホンつっこみ、朝まで聞いてしまう、という夜もあります。朝早起きして勤めに出ることがなくなってからの「贅沢日常」です。
以前は枕元にパソコンを置き、ヘッドホンで聞いていたのですが、この夏にスマホを買い替えてから、もっぱらスマホにイヤホンyoutubeというスタイルが定着しています。
パソコンを見ながら寝るのは寝返りするとき不自由だったから、耳だけで済むラジオ番組にしていたのですが、スマホは持ったまま寝返りできるので、目も使えるようになりました。podcastは「山田五郎オトナの教養講座」。美術や歴史の解説です。
中野京子『怖い絵』シリーズや原田マハの美術をめぐる小説は、ほどんど読んできました。活字本で絵の蘊蓄を知るのは私の守備範囲と思っているのに、テレビやyoutubeの山田五郎には、今まで触れてこなかった。昭和育ちの刷り込みで、活字本>テレビという思い込みがあったからかも。「テレビばっか見ていると馬鹿になる」と教室の教師たちはコトあるごとに説教していたが、60年たってみれば、どのみち馬鹿になっている。おっと、呆けとか馬鹿というのはコンプラ的にNG。PCポリティカルコレクトネスでは「高齢に伴う認知機能の衰え」よね。
「山田五郎オトナの教養講座」、楽しみながら、今まで気づかなかったことに気づかされます。ありがたいボケ予防。おっとありがたい「高齢に伴う認知機能の衰え予防」
私の美術館巡りを知られて、仕事先でテレビの「山田五郎のぶらぶら美術館」をすすめられていたし、web友yokoちゃんも山田五郎ファンだと知っていたのですが、「まずは自分の目で絵を見てから」と思って、これまでは解説を聞くことはしてきませんでした。
しかし2024年末に「寝つきスマホ」が山田五郎になって、面白さに嵌ってしまいました。山田五郎の解説は、知っていることが半分、へぇと驚くことが半分ですが、へぇ!の部分が抜群に面白い。ただ、絵を見るためには目も使うので、寝つきには向かない面もあります。ラジオpodcastを聞きながら寝落ちとことなり、絵も見ながら山田五郎のおしゃべり聞きながらの寝落ちはなかなかの技です。寝ますけど。どんなに大音声が響いていても灯り煌々でも寝てしまえるという眠り方が子供のころからの寝付き方。
最近の「へぇ!」No.1は、三菱一号館で開催された「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン」の中のレッサー・ユリィの作品紹介でした。
ウリィ「夜のポツダム広場」1920
山田五郎は、「ドイツ国籍のユダヤ人だから、Uryはユリィではなくウリィのはず」というので、以下はウリィと表記しますが、私は2022年1月5日に、娘と一緒にこのイスラエル博物館展を見たのです。
ところが、ウリィの絵をまったく記憶していなかったのです。なんてこった!私の美術館歩きは、人だかりがしている絵の前を避けて、人がいないところを縫って見るので、もしかしたらウリィの前に人がいっぱいで、背の低い私はパスしたまま出口に行ってしまったのかも、と思います。
それにしても、ウリィの絵を一枚も覚えていなかったこと、何を見てきたんだ、と思いました。自分のブログメモを見ると、印象派の自然描写である第1章と2章はじっくり見ていたのに、3章「都市の情景」と4章「人物と静物」には、ほとんど印象をメモしていなかったことがわかります。
山田五郎の解説。ユダヤ系ドイツ人だったウリィの絵は、ナチスによる「ドイツにおけるユダヤ美術館」の弾圧を経て、今ではイスラエル美術館の主要な所蔵品となっているそうです。
ウリィ「冬のベルリン」1920
今もネットで見ることができる「夜のポツダム広場」「冬のベルリン」「風景」「赤い絨毯」が、日本で初めて紹介され、それまでまったく知られてこなかったウリィが、多くの美術愛好家の間で大人気になりました。三菱一号館のウリィの前はコロナ禍中でも人が集中していたとのことなので、私が近寄れなかったとしてもしかたなし。
おくればせではありますが、この先ウリィが展示される機会があったら、じっくり見てこようと思います。
山田五郎の解説。私の好きな値段暴露。ウリィは、「夜の市街、街並み、カフェ」という売れ筋の三大画題をセルフコピー的に大量に描きすぎて、2018年のオークションで油絵1600万円代ということでした。ウリィ作品、日本のお金持ち美術館にお願いします、オークションで落としてください。うかうかしていると、成金個人コレクターに囲い込まれてしまいます。中国の土地は国家のものなので買うことができないIT成金は、世界中の美術品と日本の土地に大金注ぎ込んで買い込んでいますから、じきにウリィも買われちゃうと思います。
これまでまったく知らなかった画家を山田五郎の紹介で初めて知りました。ニコ・ピロスマニ(ジョージア(グルジア)語表記ნიკო ფიროსმანი )。
ソ連時代のグルジア田舎町では、出生記録さえ残されていなかった無名の画家でしたが、今ではジョージアの国民的画家です。
日本では、加藤登紀子の歌う『百万本のバラ』の中、「女優に恋した貧しい画家」が知られています。その画家のモデルがピロスマニだというのです。旅まわりの女優に恋し、何もかも売り払って画家はバラを買う。女優のホテルの窓の外を、薔薇の花で飾ったという歌詞の中のエピソード。
出会いから15年後にニコが描いた「女優マルガリータ」。
1969年のピロスマニ展に現れた女優マルガリータを写した写真は、絵のマルガリータによく似ているものの、マルガリータは「グルジア巡業(当時はソ連)で画家に会ったかもしれないが、バラを贈られたことなどない」と、語ったそうです。
これまで知らなかった画家に、2025年も出会える機会を山田五郎podcastで得ていきたいです。
podcast歴。
podcastで聞く内容は、23年後半はずっと神田伯山「問わず語り」でした。タカ氏が二つ目の松之丞時代にはしばしば格安の寄席で落語も講談も聞けたのに、真打ちになって以来、伯山出演の寄席も独演会も高くなって貧乏人には聞けなくなったと嘆くので、パソコン無縁のタカ氏に「youtubeに講談の録画がUPされているから、私はグレーゾーンとか忠臣蔵とか聞いたよ」と、言いました。「youtubeじゃダメなんだよ、寄席のあの雰囲気の中で聞かなきゃ」と、負け惜しみを言うタカ氏をしり目に、「松之丞の問わず語り」から「神田伯山の問わず語り」へと聞き続け笑い続けました。
伯山の二つ目時代、松之丞のときのラジオはとても面白かったです。メディアがコンプラがんじがらめになる前の、人の悪口言いたい放題社会への疑義申し立て放言が面白くて、podcast過去放送を聞き続けました。伊集院光との確執など、笑いどころでした。しかし、過去録podcast分が追いついて、2024年からは週1金曜日の放送を土曜日に聴く。はっきり言って、真打ち伯山になってからしだいに各方面への気遣いが大人になってしまい、おもしろみが漸減。自分の弟子をディスっても面白くともなんともない。
伯山が週1になってから、次に熱心に聞いたのは、「安住紳一郎の日曜天国」。こちらも2007年からの過去podcastを毎晩聞き続け、2024年においついて今は週1に日曜午前の本放送を、午後にpotcastで聞く。真打ちの伯山が大人になってしまったのと異なり、局アナ安住氏は、係長から「TBSコンテンツ戦略本部アナウンスセンター役員待遇エキスパート職」というエラソーな身分になっても、局アナ道を一貫するしゃべりが心地よい。ときに後輩が自死したとき相談にのってやらなかったことを号泣しながら語り、ときに社内スポーツ大会ボーリングの試合にプロボーラーを自分の番組のADとしてチームに入れ、社内で4位となる。1位となった車両部チームはプロの顔を知っているので、たちまちばれて、罰ボランティアを課せられる。鳩レースやいかだレース穴掘りレースなど、面白く聞いています。
5年連続で「いちばん好きな男性アナウンサー」になって殿堂入りしてしまったので、ランキングには登場しませんが、いまでもNo1アナウンサーだと思います。過去podcastをほとんど聞いてしまいましたが、今も週1の放送を日曜午後に聞いています。
美術館巡りも庭園植物園散歩も、2025年も楽しんでいきます。もちろん、寝つきのpodcastも。
<つづく>