春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「踊る東京ブギウギ」

2024-12-01 00:00:01 | エッセイ、コラム
20241201
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2024二十四節気日記寒い朝も(1)踊る東京ブギウギ

 「高齢者ふれあい館で体操グループがダンス発表をするから、時間があったら見にきて」とミサイルママに言われて、11月8日に出かけてきました。
 ミサイルママが、水曜日のジャズダンスの練習についていくための体力つくりとして、週2回体操グループに参加している話は聞いていました。区の高齢者介護予防のサークル活動として、区の公募に応募した高齢者が自主サークルを作り、区の施設を無償利用して活動するものです。

 ミサイルママがご主人と住んでいる区、私も35年間住んできた区は、都内23区の中で、高齢者率が高い地域です。区は介護施設を増やすよりも介護を受けなくても元気に過ごせるお年寄りを援助するほうが結局のところ「安くつく」という結論になったようで、介護予防の拠点として「老人ふれあい館」や「老人いこいの家」などで「入浴券」「おしゃべり会」「体操」などの福祉活動を実施しています。

 ミサイルママの体操グループは、70代80代のお年寄りを中心に、無理のない体操をこの3年続けています。体操に簡単なダンス振り付けを取り入れてミサイルママが動きの指導をしてきました。
 
 今年は、ミサイルママ振り付けで「東京ブギウギ」を踊ると言うのです。サークル全員の衣装として、2009年に中国赴任のおみやげにジャズダンスサークルに10何枚かプレゼントしたベリーダンス衣装を使って、「e-Naちゃんからもらった衣装だから、見てもらいたいと思って。でもAダンスの発表と違って、歩くのもおぼつかないお年寄りがフレイル予防のために参加して手足動かしている体操グループだから、期待はしないでね」

 私が出かけたのは、ある企てがあってのことでした。ミサイルママは、インテリア会社を定年退職したあとハローワークの職業訓練としてホテル業務の修行をしました。テーブルセッティング実習やベッドメイキング実習の話を楽しそうにしていて、私は生き生きと新しい分野に挑戦する話を聞くのが楽しみでした。その卒業式の謝恩会余興として、みなそろっての踊りが大好評だった、という話を聞いたことがありました。ミサイルママがダンス未経験の仲間を指導したのがうまくいったとの話。今回の介護予防の高齢者を指導した話を聞いて、計画を思いつきました。

 私たちがジャズダンスを習っていた先生は、とても高度なダンステクニックをお持ちの方なので、「何度もくりかえして練習すれば必ずできる」という方針を喜寿の今も変えません。ミサイルママたちAダンスの仲間もそろって70代になり、昔のようにキレッキレとはいかない動きも出てきました。

 ミサイルママが振り付けを簡単にしてお年寄りも体を動かせるように変えて踊った、というのを聞き、発表会を見学した後、区に企画書を出して、今所属している高齢者体操サークルだけでなく、「介護予防の簡単ダンス指導」を行う先生としてミサイルママを推薦し、活動してもらおうと思ったのです。


 発表は楽しくみなで和気あいあいと進みました。体操サークルのおばあちゃんの娘さんお孫さんも観覧に見えて、拍手もいっぱい。踊り終えたお年寄りたちも、満足そうなようすでした。男性のひとりはパーキンソン病をかかえ、不自由な体を少しでも動かそうとがんばっているそうで、ダンス発表にも積極的に参加したそう。
 むろんミサイルママのジャズダンス歴40年の動きは抜群でした。


 発表後は駅前のコージーコーナーでランチ。ミサイルママのご主人ジンさんもいっしょにパスタやモンブランケーキを食べました。

 しかし、私の「高齢者ダンス指導者就任のお願い」は、ミサイルママに一蹴されました。
 「今のサークルでサークルの一員としていっしょに踊っている分には、仲間内のことだからいいけれど、指導者として教えるのはとてもできない。お年寄りにステップ教えて、ころんで骨折とかいうことになったら、責任とれない。もちろん区のサークルだったら、保険も入っているし、自己責任っていうこともできるけれど、指導をする以上、そういうリスクも考えなきゃ。ケガする可能性のあるお年寄りの指導するってことは、いろいろな責任も含めてのことだから」と。

 なるほど。私は素人やお年寄りに教えるのが上手だから、絶対適役だと思ったのですが、ミサイルママはもっと慎重に考えているのでした。
 いさぎよく、あきらめました。

 ジンさんはこのところ腰を痛めており、先月紅葉見物にでかけた日光のホテルで、大浴場まで階段を下ってお風呂に入り、さて登りの階段で疲れ切り、翌日の紅葉散歩はミサイルママひとりで歩いたのですって。

 ミサイルママの再婚前は、お弁当を持って都内近郊の美術館や庭園を散歩する「大人の遠足」に出かけるのを「お金ないけど心ゆたかに暮らしたいシングルマザーと準シングルマザーのおでかけ」として楽しんできました。再婚後はちょっと遠慮して「ジンさんと二人で温泉巡りをした」などのみやげ話を聞く側になっていましが、「ジンさん、もう病院への往復くらいしか歩けないから、ジンさんと別々に出歩くことにする。美術館のお出かけとか、また誘ってね」というミサイルママ。この春めでたく古希をむかえシルバーパスデビューをしたというので、「シルバーパス+無料美術館庭園めぐり」にお誘いしようと思います。

 「こんな性格悪い母と長年友達付き合いしてくれる人、貴重だから、大事にしないとね」と、娘が言います。はい、わかっています。ヒトと出会えば、回りじゅう、私より美人、私より才能豊かな人ばかりですから、ねたみそねみ満載で意地悪なことばかり思ってしまう私なのに、ミサイルママは体操サークルのおじいさんおばあさんたちに、私を「大親友」と紹介してくれました。大親友をこれからも大切にして、大人の遠足を楽しみたいです。

<つづく>
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする