20251210
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>2024のことば(1)2024三省堂新語大賞言語化
世間的にはユーキャンの流行語大賞が話題なのでしょうが、仮にも「ことば」で食べてきた春庭は、毎年末の「今年のことば」が出回るとき、一番気になるのは、三省堂の新語大賞です。あたらしもん好きでいち早く辞書に新語を搭載する三省堂が、今年の辞書新搭載語を選ぶ。10年後にも日本語として定着しているであろうという語を、辞書編集者たちが選び抜く。
決定した2024新語は以下の通り。
大賞 言語化
漠然と抱いた意識や思考、いわく言い難い欲求や感情を、できる限り正確に言葉にして表すこと。「盛り上がった気持ちを言語化する」。従来から言語学などの専門用語として「言語化」は存在してきましたが、辞書には未搭載でした。一般用語として人々が口にするようになった語として2024に急激に台頭しネットにもあふれました。
2位 横転
本来の意味は、左または右の方へ回転すること。転じて、思わずずっこける(ほど驚く)こと。「首相のおにぎり食い方が悪すぎて横転」
3位 インプレ
インプレッション(impression)とは、デジタル広告や記事コンテンツ、SNSの投稿などがユーザーの画面に表示された回数を示す指標。主にWeb広告やSNSの分析画面で使用され、Web広告では施策を考える上で重要な数値指標となりインターネット上の広告やSNSの投稿などが閲覧された回数を言う俗称。広告料の支払いの算定などの指標として使われるが、実際には内容の良否善悪や真偽を裏付けるものではない。「インプレゾンビ」は広告収益のためにインプレを増やそうと大量の迷惑投稿をするアカウントを罵って言う語。
インプレッションといえば印象派しか思い浮かばない昭和人には、ほほう、ネット社会ではこうなっているのか、と思うばかり。
4位 しごでき
仕事ができる、手際がいい様子。「しごできで、しごはやな人」
IT語カタカナ語、どんな語でも仮名四文字に縮めるのが若者語であるからして、「不適切にもほどがある」を「ふてほど」と縮めたテレビドラマの省略語を今年の流行語大賞に選んだのはユーキャンだけれど、クドカンドラマは、一部に受けるツー好みだから、「流行していない流行語」とブーイング。
ビジネスマン用語で「なるはや」だの「アポなし」「あいみつ」「オリエン」「オンスケ」「コンプラ」「ブレスト」などなど、ビジネスシーンで飛び交う四文字語を駆使できることが「しごでき」な人。
5位 スキマバイト
空いた時間を活用する不定期アルバイト。専用のアプリ上でマッチングして短時間の雇用契約を結ぶ。手軽に働けるメリットの一方で、人材の使い捨てや犯罪に引き込まれるなどのデメリットもある。
6位 メロい
見ている方が夢中になって、だらしなくなるほど、圧倒的な魅力のある様子。擬態語「めろめろ」の「めろ」+形容詞語尾「い」。「推しのダンスがメロいから、毎日課金→破産」
7位 公益通報
職場の同僚、上司などによる法令に違反行為を、定められた窓口に訴えること。由来は、2006年施行の公益通報者保護法で、公益通報した側が不利な扱いを受けないことを定めている。しかるに兵庫県では死人も出たあげく、前知事再当選でわけわからんことに。
8位 PFAS(ピーファス)
有機フッ素化合物の一部であるペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称。水や油をはじく性質からはっ水剤やコーティング剤など幅広い用途で使用されてきたが、自然分解されにくく、環境中や体内に長く蓄積するなど有害性が指摘されている。地下水や河川、土壌や水道水で検出が相次ぎ問題となっている。
9位 インティマシーコーディネーター
映画やテレビなどで性的なシーンを撮影する際に、演出側の意図と俳優の意向を確認し、調整役として働く人。安全かつ快適に、双方合意のもとで撮影が行われるよう、俳優を身体的・精神的にサポートする。ながながしいカタカナ語が四文字に省略されないのはなぜか。省略するとインコーになる。淫行。
10位 顔ない
驚いた / 困った / はずかしい、といった気持ちを表す。「質問に答えられなくて顔ない」
(三省堂「今年の新語2024」の大賞発表(2024年12月3日、三省堂提供)
三省堂が選ぶ新語は、10年後も日本語として定着しているであろうと辞書編纂者がチェックした語です。で、10年前の新語大賞を検証すると。
1位ワンチャン 2位それな 3位あーね 4位安定の 5位自撮り 6位プロジェクションマッピング 7位NISA 8位危険ドラッグ 9位~み 10位ぽんこつ
博多弁から浮上した「あーね(ああ、なるほどね)」というJK用語について、昭和婆さんは完全に忘れていましたが、他の9語は今も意味が分かるし、自撮りとかプロジェクションマッピングは使っている。が、「ぽんこつ」をネットスラングとして、ゲームやアニメの中で、キャラクターの能力不足やドジな性格を表現する際に用いることはない、ゲームしないので。今もゲーマーには使われている語なのかもわからない。
さて、2034年に「インプレ」がどのように使われているかを検証できるといいのですが、なにしろすでによぼよぼのポンコツ婆さんなので。少なくとも千年前の「いとをかし」を清少納言さんと同じ意味合いで使っていないし、10年後に「つらみ」や「汚み」「静かみ」を使っているとも思えないのだが。
顔ない高貴幸齢者
<つづく>