英国王室御用達のレモンマーマレード
ちょいとブルジョアな雰囲気だ
そもそも、缶詰のはじまりは1804年。
フランスの料理研究家、ニコラ・アペールという人が、料理を瓶詰にしたのが最初であります。
折しもフランスは激動の時代。
1789年に勃発したフランス革命にも参加していた彼は
「密閉・加熱すれば食品は腐らないはず」
と、調理済みの食品を入れた瓶を密閉し、瓶ごと煮沸するという実験を行っていたのだ。
「戦地の兵士たちが、栄養豊富で安全なものが食べられるように...」
という熱い思いがあったのだと、筆者は推測するのである。それが1794年頃のこと。
そして、翌年1795年。
フランス政府が、陸軍の糧食に必要な食品保存技術を募集し始めた。
ニコラ・アペールはこれまでの研究を元に、1804年にパリ郊外マシーに保存食品製造所を造る。ここで製法を確立した瓶詰で、前述の募集に応募、12,000フランの賞金をもらったということであります。
つまり、缶詰の原型は瓶詰だったのでありますなァ。
開缶ならぬ開瓶! 中身が見えてるから感動は少ない
さて、缶詰の父ともいえるニコラ・アペールは、どんな瓶詰料理を作っていたのか。
(社)日本缶詰協会では、2004年(缶詰生誕200周年)に、当時のレシピを再現している。
それにはポトフ、コンソメ、ジュリエンヌ(野菜スープ)、イチゴピューレなどがあるが、イチゴピューレというのはジャムと同じ製法だ。
何となれば、今日我々が目にする瓶詰ジャムというのは、缶詰の元祖でもあるのだ。
かくのごとし。
爽やかなレモンの酸味が、食欲をそそる。
そして、舌に残るほのかな皮の苦み。
その切ない苦みからは、あの激動のフランス革命や、その後のナポレオンの隆盛なぞが想起されてくる。
(ナポレオンはコルシカ島の出身だったのだよな。それがオーストリアやイギリスとの闘いで頭角を現し、ついにフランス皇帝にまで成り上がったんだな)
筆者は、朝から想像をたくましくする。
このウィルキン&ソンズはイギリスの商品なのに、フランスの歴史に思いを馳せることも可能なのだ。
甘さも控えめで、ちょいと美味いもんですぞ。
内容量:340g
原材料名:砂糖、レモン、酸味料、ゲル化剤(ペクチン)
原産国:英国
>あ、でも缶詰めはあっても、缶切りが登場するのは半世紀程経ってからとちゃいましたっけ?
おっしゃるとおりです!アメリカの発明家E.J.ワーナーが1858年に特許を取得したのが、最初の缶切りと言われてまする。