閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

大事な店だよ

2024-07-13 08:18:53 | 日記

先日 大牟田の老舗菓子店の従業員から家内が声をかけられて耳にした話だが、

ある来客が「銀座通りにある古本屋は大牟田の財産だよ、大事にしなければ」と語ったそうである。その店員は我店のことは知らず「へえ!」程度の事だったようだが、そんなことを客が言い残すことがめずらしくて、顔見知りの家内に伝えたのだそうだ。彼が何処のどなたか知るすべはないが、以前大牟田に住んでいて、何かの機会で大牟田に来て昔あったはずの「古本屋」が まだあって「安心した」とも。  全くありがたいお言葉なのだが、実は店でもよく言われる、ことにこの頃は「ああ、まだありましたね。頑張ってください」と。都会(ことに東京)に出て行ってその生活の周辺で古本屋の存在を知った人たち、あるいは仕事などでしばらく大牟田にかかわったことのある人達など、全員今現在の大牟田居住者ではない。

 以前から来店客が少ない野を「嘆いて」来たが このところいよいよ顕著!何か「事件」でもあって外部の人たちが大牟田に来てくれないと我店の来客がない、というのはどうやったら解決できるのでしょうね。

 商店街の衰退がひどく、行政もほおっておけなくなったようで、このところ「調査」が増えてきた。少し前から大学の社会学・経済関係学科などの野外研究は目についていて我店にも時々「インタビュー・アンケート」等があってきた。それがこのところ市や、商工関係の件もあるようになった。その中でよくある質問に「対策は?」とある。我店のような店にどんな対策があるのかこちらが聞きたいし、今更この街・市周辺に例えば「読書人口を増やせ」といったところで調査委係わる者そのものが本とは縁のない人たちなので全く実感はなく、意味も分からないだろう。

 輩も齢を重ね「まだ頑張ってください、寂しくなります」と言われても如何ともしがたい。少しずつ在庫を減らしつつあるが「よくもまあこんなものを取って置いたなあ」というもの多数。 東京の市場に方々の廃業した本屋の整理品がそれこそ山のように出されているのを見聞きするとうそ寒い思いを禁じ得ない。

 寂しい話ばかりでは・・・。

 数週間前にある市場で入手したアッシリア語の大部の辞典、売れました。我店としては「早い!」 荷造りは一仕事でしたが 落札した時、周りから「そんなもの売れるかい?物好きだね」と言われたのがおかしい。まだあるヘブル・サンスクリット等研究者も少ない分野の辞書類がお嫁に行くのが楽しみです。

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