晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

丹波西国道中記・五日目-3

2023-11-10 | 徒歩巡礼

2023.10.31(火)快晴 「納経朱印がもらえない」
補陀洛山観音寺跡~岩戸寺

 《経費》
交通費 バス代490円 電車代240円 車謝礼500円 駐車料100円 計1、330円
賽銭等 朱印代600円 入山協力金300円  計900円  合計2,230円

 第八番(廃)補陀洛山観音寺跡 丹波市春日町黒井
   興禅寺の下の道を市島方面に200m、天満神社隣忠魂碑の広場に寺跡の石碑あり。

 英樹君の横に寺跡の石碑あり 
 補陀洛山観音寺は廃寺となり、昭和41年に倒壊した。江戸時代の中期に三十三所に参入したとあり、高山寺と共に第八番となっている。今日まで九寺を巡り来て、二寺が廃寺となっていたのは淋しい限りである。ガイドブック(丹波国西国と御詠歌・志保美円照著)では以降四ヶ寺が廃寺となっており、無住の寺は数多くある。わたしが子供の頃は何処のお寺にも住職がいて無住寺、廃寺などと言うのは見かけなかった。日本はこの間劇的な経済発展を成したわけだが、お寺に関してこの現状はいったい何なのだろう。過疎化だけがその原因ではないのではないか。とにかく廃寺、荒れた無住寺を訪れたときはなんとも空虚で淋しさを憶えるのである。
 観音寺跡について興禅寺で聞いたところ、「下の道から少し入るので、解りにくく見つけられないでしょうね」と言われ、不安になる。ガイドブックには興禅寺の下の道を200m、山側の広場とあるので簡単に行けそうに思ったのだ。注意深く下の道(陣屋町と呼ぶそうだ)を行く、すると山側に小さな祠があり細い道が斜めに上がっている。祠は神社のもののようだがかまわず進んでみると、忠碑碑のある広場があった。ここに間違いない、後から来る二人を呼んで思い思いにお参りする。
 忠魂碑の隣に「補陀洛山観音寺跡」という石標があり、その裏面に御詠歌「さしてくるおちこち人も世をすてて 同じ黒井の 黒染のそで」と石碑建立の所以が記されている。
 元来た道を戻らずに、真っ直ぐ下に下る道を行く。ここは天満神社の参道であり陣屋町の道に出合うところに「黒井の天満神社」という洒落た看板がある。ここから入れば寺跡は入りやすい。
 
 第九番 明燈山 岩戸寺 真言宗 丹波市市島町岩戸 (0795)85-2260
  本尊 千手観音 とこやみの人の心をてらさんと 岩戸の寺に 朝日うつろう
 岩戸寺への道は「丹波の古道」(奥谷高史著)に「是よりかもの庄岩戸寺へ二里小田(多)利村より
北村へ行川あり大水の時は市島へ廻る」とある。北村は喜多で川は鴨庄川であろう。鴨庄川には橋がなくて、市島には竹田川に二本の橋があって鴨庄川の南から北に廻れるってことかなと想像するのは楽しい。わたし達は道なりに下っていき、線路を越えて線路脇を北上多利に出て、小富士山の麓を北東に進み鴨庄川を渡り、岩戸寺に続く西側の道を登っていった。道中は街道の風情は無かったが、観音寺から岩戸寺への巡礼道だろうと思う。岩戸寺への道は小川を挟んで二本走っていて、その間は豊かな田園地帯となっている。細長い扇状地と言ってよいのだろうか、わたしは塩地形と呼んでいる。こういう地形には塩地名が良くあるのだが、地図上では見られない。(株)塩谷牧場というのがマップに載っているので塩谷があるのかもしれない。段々傾斜がきつくなってきて、岩戸寺の石段下にたどり着く。
 山門から本堂まで二百六十有余段という長い石段。
 長い石段の途中にペットのお墓がある。昨今あちこちのお寺で増えてきたが、家族の一員として過ごしてきたペットの安息の地として嬉しいことである。石塔には「一切衆生」とあり、生きとし生けるものすべて、という意味だろう。
  
 さて本堂では作法通りお勤めをし、下の庫裏に急ぐ。お寺に来る手前で、「ご住職はご在宅でしょうか?」と訪ねたところ「先程出られたようです」とのことだったので少し不安でもあったのだ。庫裏は鍵がかかっており、呼び鈴を押しても応えは無い。
   境内に西国三十三所の仏様が祀ってある。
 岩瀧寺の場合は納札所に朱印が用意されており、料金を払って戴けるようになっていたのだが、そのような様子も見受けられない。納経朱印を戴くのが目的ではないけれど、お参りしながらも欠けているのはなんとも寂しい。次回神池寺に行く際に車で来て戴こうと決め、後ろ髪引かれる思いで岩戸寺を後にする。その時間が16時15分、市島駅の電車の時間が17時19分、またしても微妙な時間だ。一人だけなら走ってでも行くのだが三人となるとそうはいかない。
 馬橋、次回はこの橋を起点にしよう。
 その上秋の日はつるべ落とし、歩くほどに暗くなってくる。時計とスマホの地図を見ながら歩くのだが、県道59号線の市島駅の矢印に騙されて大回りしてしまう。道案内は車用のものだったのだ。暗闇の中を市島駅に着いたのは6分遅れの17時25分、次の電車まで一時間余り。「駅前にうどん屋でもあったらなあ」一昔前ならいろんな店があったのだろう、ここでも経済発展っていったい何なのだろうと悲しくなる。
 「今日は遠回りしたおかげで30Kmをクリアしたやろなあ」実はわたし自身巡礼歩きを何回もしつつ、日に30Km以上歩いたことは無いのだ。トレーニングで30Kmを走ることはさほどしんどくもないのだが、30Km歩くことがこんなに大変なことかと感じていたところである。「残念~あと300m、歩いてくるかい」ハンターズムーンというのか大きなお月様が笑っていた。合掌

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする