[画面]
?交差点(狭路から大通りへ)
□一時停止する乗用車。
□通り一遍の安全確認、右側ばかりに注意を傾ける。
□左折しようとすると、左側から自転車が。
?CG事故例(テロップ)
□『安全不確認』
□『動静不注視』
□『前方不注意』、
□『漫然運転』
□『思い込み運転』(夜間)
?交通事故現場
□さまざまな事故の模様。
?メーンタイトル(仮題)
「検証 不注意,思い込み運転が 事故を呼ぶ!」
?情報と注意(CG)
□脳に情報が続々と入っていく。
情報を次々と認知し、注意し、判断、操作していく。CG
□揺らぐ注意。CG
・美人が歩く。クラクションの音、気づくと後ろにトラックが。
□注意の性質(テロップ)
?注意の配分性(テロップ)
□中心視と周辺視の実験。
周辺部に描かれているものを答える被験者。
よく把握していないようす。
字幕「中心部の両側の図形を
一つあげてください」
□中心視と周辺視の範囲を示す。
◎狭路での事故(対向車に注意、左前方自転車に接触)
□幅員の狭い道路。
□向井(男・30代)がワンボックスカーを運転。
□前方左側に走行する自転車が。
さらに、その奥から貨物車が向かってくる。
□向井の視線。
□自転車を追い越し、進む。
□ブレーキ!
□サイドミラーを見ると、そこには、倒れた自転車と人が!!
□慌てる向井。
□リフレイン映像。
向井さんの視野。
CG俯瞰、事故状況。
字幕「注意の配分を誤った」
□事故防止法。
・向井の視線。
字幕「中心視と周辺視を活用」
・向井。停車。
対向車通過。
安全確認。
字幕「停止して安全確認」
?注意の選択性(テロップ)
□漢字ストループ
□被験者たちのようす。
・つい、うっかり、漢字を読んでしまったり、声が出ないなど。
?信号のある交差点・追突事故
(同乗者・家族を乗せて)
□霞ヶ浦俯瞰。
□家族で遠出のドライブをしてい
る野村(40代)。4人家族。
□助手席に中学生の息子、奥さんと中学生の娘は後部座席に。
□美しい風景の中、車は走る。
□風景を楽しむ家族たち。
息子が空腹を訴える。
□レストランを探すその視線。
目には、飲食店などさまざまな看板が飛び込む。戸惑う。
□娘と息子が喧嘩。その声が野村の耳に入る。
□信号のある交差点。前方には車が。
□「お父さん、あそこがいいよ」と突然指差す息子。
□「どこだ!」と、その声に思わず、店を確かめようとわき見。
□「お父さん、危ない!ブレーキ」と奥さん。
□その声に急ブレーキ。
□赤信号手前で停車した車に追突。
□CG。衝突。
□リフレイン映像。
字幕「注意の選択を誤った」
□CG。複数の情報が目や耳から入り混乱するイメージ。
□実写。1秒間で進む距離。
□事故防止法。
・同乗者たち。
字幕「同乗者は運転の集中を
妨げる行為をしない
大声をあげたりしない」
・運転する前の準備。
駐車場でカーナビの活用。
字幕「カーナビや地図などを
活用して運転計画を立て
る」
・シートベルト
字幕「後部座席でもシートベルトを!」
?注意力の持続性(テロップ)
□書字スリップ
紙に、数字1から10までの読み
方をひらがなで、できるだけ速く
書いてもらう。
字幕 数字1から10までを
「ひらがな」で書いてもらう
途中でアラビア数字に書き間違
える。手が止まるなどミスを犯
す。
□注意力の持続性のイメージCG。
◎直線道路 (歩行者の飛び出し)
□一日の仕事が終わりに近づく頃。
□溝口(30代)が会社に戻る。
□ほっと一息の溝口。
□直線道路は空いていてまっすぐな道が続く。
□薄暮。
□溝口の目。視線が一点に。
□進行方向右側から突然、横断歩行者が。
□急ハンドル、急ブレーキ。
しかし、鈍い音が。
□停止してクルマから慌てて降りる溝口。倒れている歩行者。
□リフレイン映像。
□CG。衝突。
字幕「注意が持続できなかった」
□CGグラフ。
運転開始後、間もなくの注意レベルのグラフと長時間運転時の注意レベルの比較。
□単調な道路。
□公園で休憩。
□CG 休憩。注意力が高くなる。
字幕「90分運転10分休憩で
注意力のレベルアップを!」
□ライトを点灯。
字幕「早めにライトオン」
?思い込みエラー(テロップ)
◎交差点・出会い頭事故(一時停止
無視で右からの車と衝突)
□通り慣れた道。松岡(女・30代)
が買い物に向かう。
いつもの時間にいつものスーパ
ーに。交通量の少ない住宅街。
□松岡。一時停止の交差点にさしかかる
□一時停止。
□松岡「!!」
急ブレーキ。
間に合わない。
□リフレイン映像。
字幕「車や歩行者などは
出てこないだろう」
□模範運転。
字幕「交通ルールを守る」
字幕「優先道路でも徐行
一時停止して安全確認」
字幕「~だろう運転ではなく
~こもしれない運転を」
□無事、交差点を通過。
?これまでの事例をフラッシュ。
?イラスト
□注意力を削ぐものを排除する。心の動揺、体調、飲酒。疲労、眠気。
?コメンタリー運転
□一般ドライバーが声だし呼称で運転。
字幕「コメンタリー運転」
□道路俯瞰。
□指導・協力タイトル。
□製作タイトル。
[解説]
1「安全確認は運転の基本中の基本です。ドライバーは誰でも十分にそのことを認識しているはずです。
おや、右ばかり見ていますね」
(衝突の効果音)
2「『はっきり確かめなかった』
『相手の動きに注意しなかった』
『見るべきものを見なかった』
『ぼんやりしていた』などの不注意。
『車や人は出て来ないだろう』といった思い込み。
交通事故の大半は、不注意や思い込みが原因で発生しています」
3「『人間はミスを犯す動物』といわれています。
運転中にミスを犯すと、交通事故という悲惨な結果が待っています。
では、不注意や思い込み運転はどうして起きるのか、こうした人間の弱点を乗り越えるためにはどうしたらいいのか事故事例から考えていきましょう」
4「運転では『認知,判断,操作』を頻繁に繰り返しています。
その間、目や耳などから入ってくる膨大な情報のすべてを受け入れているわけではなく、必要な情報を選んで脳に取り込んでいます。
その取り込みを支配しているのが、『注意』です。
けれど、注意はいつも100%完全に働いてくれるわけではありません。気まぐれなのです。
注意には、配分性、選択性、持続性
の三つの性質があるといいます」
5「注意の配分性の実験を見てみましょ
う。
いろいろな図形が描かれています。
この中心部の図形をしっかり見てもらいます。周りにはどんな図形があったか聞いてみましょう。
(被験者の答と感想)
…中心部をずっと見ていると周辺には何が描かれているかが見えにくいことが分かります」
6「わたしたちの視野は、範囲の狭い中心部分の視野・中心視と、その周辺部分の視野・周辺視の2つから構成されています。
中心視には10の注意のうち7割くらい、残り3割くらいが周辺視に向けられているといいます。
ふだんは、中心視と周辺視を活用して注意をどこにどの程度、配分するかを調整しています。
しかし、『注意の配分』がうまくいかなくなると事故が起こります」
7「住宅街の幅の狭い道路を向井さんが
走っています。
向井さんの視界に入ってきたのは、
左側を走る自転車と向かってくる
トラックです。
道幅が狭いので、トラックとのすれ
ちがいに気遣い、自転車を追い越し
てから左側に寄ろうとしました。
すると!
(衝撃音)
向井さんは自転車に接触してしま
いました。
この事故の原因を考えてみましょう」
8「向井さんは、自転車とトラックの存
在を認知し、はじめは両方に注意を
していました。
けれど、ほんの一瞬、トラックだけに注意が向けられ、自転車への注意がおろそかになりました。
つまり、注意の配分を誤ってしまったのです」
9「事故を防ぐためには、
中心視と周辺視を活用する。つまり万遍なく見て、広く情報を集め正しい判断をすることが大切です。
そのためには、時間をかけてよく見ることです。
したがって、手前で車を止め、対向車を通過させ、安全確認してから進行する。これが、事故を防ぐもっとも確実な方法です」
10「今度は、注意の選択性の実験をして
みましょう。
色のついた漢字が並んでいます。
漢字を読むのではなく、その色を
読み上げてもらいます。
では、どうぞ!」
11「思い通りにならないようですね」
12「色を読み上げようとしても、いつもの習慣で、つい文字を読んでしまいます。
注意を向けるべきところに向けなかったために起こったもので、これが『注意の選択ミス』です」
13「次は、情報が多すぎて、注意の選択が混乱してしまい事故になった例です。
野村さんの家族はドライブを楽しんでいます。
そろそろ、お昼時です。
…レストランを探すことになりま
した。
野村さんは、知らない土地なので
戸惑っています。
今度は、子供たちが何を食べるか、言い争い。その声も気になります。
信号のある交差点が近づいてきま
した。前方には車が。
わき見運転で追突事故を起こしてしまいました。
事故を起こすまでの野村さんの心の中を覗いてみましょう」
14「知らない土地でのレストラン探し。
さらに、子供たちの言い争い。
これでは運転に集中できません。
こうしたことに注意を奪われ、肝心道路状況への注意がおろそかになりました。
つまり、注意の選択を誤ってしまったのです」
15「複数の情報を同時に意識すると、一つ一つに十分な注意を注げなくなります。
『わき見運転』での事故は、注意の選択が分散して、何に注意を向けるかを忘れてしまうことによるものです」
16「たった1秒でも目を離すと、
時速40kmで車は11mも進むことを
忘れないでおきましょう」
17「こうした事故を防ぐには、
同乗者は運転の集中を妨げる行為をしないようにしましょう。
特に、瞬間的に注意をひく大きな音などは禁物です。
事前にカーナビや地図などで、運転計画を立て、ドライバーは運転だけに専念できるようにしましょう。
また、万が一の事故のために、後部座席でもシートベルトを装着してもらいましょう。これなら安心ですね」
18「次は、注意の持続性の実験です。
数字1から10までの読み方をひらがなで、できるだけ速く書いてもらいます。
どうなるでしょうか?
ついうっかりアラビア数字を書いたり手が止まったりします。
単調な作業を速く行うと、注意が持続できなくなってしまうことを示しています」
19「運転も時として単調になることがあ
ります。
注意レベルには高い低いがあり、長
時間、一定の水準を持続できないの
です。
注意が持続しなくなったときに起
こった事故例を見てみましょう」
20「溝口さんは、今日は早く仕事が終わり、会社に戻る途中です。
家に早く帰りたいので、休憩もとらずに2時間あまり運転しています。
交通量の少ない直線道路が続いています。
日が落ちてきました。
すると、道路を渡る歩行者が!
溝口さんは、歩行者に気づくのが遅れ、衝突してしまいました。
この事故の原因をあげてみましょう」
21「休みもとらず2時間あまりの運転。。
単調な道路が続きます。
道路に目は向けてはいるのですが、
漫然としています。
また、薄暮になって道路は見えにくくなってきたのにライトをつけません。
溝口さんは注意が持続できなくな
っていたのです」
22「人間の注意力はリラックスしている時は極端に低下するといいます。
運転開始後間もなくの場合、周期的
な注意の途切れが見られますが、
まだ緊張感があるので、すぐに修正
することができます。
ところが、運転時間が長くなると、
注意の途切れが長くなり、それに気
づく感度も鈍くなってきます。
本当は、疲れていながら、疲れが自
覚できなくなってしまうのです」
23「また、交通量の少ない単調な道路では、情報に対する感受性が弱くなり、注意力のレベルが著しく低下すします。こんなときは要注意です」
24「疲れの自覚の有無に関係なく、休憩
することが大切です。
『90分運転10分休憩』と決めておくことです。注意力のレベルアップにつながります。
また、早めのライトオンで相手の注意をひくことも大切です」
25「これまで、不注意による事故を紹介してきましたが、もうひとつ、人間は思い込みエラーをおかします」
26「午後の住宅街。
松岡さんは通り慣れた交通量の少ない道をいつものように買い物に向かっています。
松岡さんは一時停止をしなければなりません。
ところが!優先道路から車が!
出会い頭の衝突事故です」
26「この事故の原因をあげてみましょう。
この交差点は『通り慣れている道』ということです。
一時停止という目の前の状況をきちんと認識しないで、これまでの経験から「今の時間はクルマや歩行者は出てこないだろう」という自分勝手な「思い込み」が運転を支配してしまったのです」
27「通り慣れた道路でも、はじめて通る道と同じように周囲に気を配るようにします。
当然、交通ルールは守らなければなりません。
また、優先道路でも、徐行・一時停止など安全確認するように習慣付けることが大切です。
『だろう運転ではなく、かもしれない運転』を!」
28「残念なことですが、人間の注意力は
決して万全なものではないのです。
焦りや喧嘩など心の動揺、
体調が悪いとき、
飲酒、
疲労や眠気、
これらは注意力には大敵です。運転
しないようにしましょう」
29「注意力を高めるためには、プロドライバーのみなさんがよく行っている
コメンタリー運転という安全確認をすることもいいでしょう。実際にミスの発生率が低下しているのです。
……少し、照れくさいかもしれませんが、注意力を促すための一つの方法です」
30「注意・不注意は背中合わせ。
そして、人間の心には危険が潜んでい
ることを認識していつでも安全確認
することが大切です」
(終)
?交差点(狭路から大通りへ)
□一時停止する乗用車。
□通り一遍の安全確認、右側ばかりに注意を傾ける。
□左折しようとすると、左側から自転車が。
?CG事故例(テロップ)
□『安全不確認』
□『動静不注視』
□『前方不注意』、
□『漫然運転』
□『思い込み運転』(夜間)
?交通事故現場
□さまざまな事故の模様。
?メーンタイトル(仮題)
「検証 不注意,思い込み運転が 事故を呼ぶ!」
?情報と注意(CG)
□脳に情報が続々と入っていく。
情報を次々と認知し、注意し、判断、操作していく。CG
□揺らぐ注意。CG
・美人が歩く。クラクションの音、気づくと後ろにトラックが。
□注意の性質(テロップ)
?注意の配分性(テロップ)
□中心視と周辺視の実験。
周辺部に描かれているものを答える被験者。
よく把握していないようす。
字幕「中心部の両側の図形を
一つあげてください」
□中心視と周辺視の範囲を示す。
◎狭路での事故(対向車に注意、左前方自転車に接触)
□幅員の狭い道路。
□向井(男・30代)がワンボックスカーを運転。
□前方左側に走行する自転車が。
さらに、その奥から貨物車が向かってくる。
□向井の視線。
□自転車を追い越し、進む。
□ブレーキ!
□サイドミラーを見ると、そこには、倒れた自転車と人が!!
□慌てる向井。
□リフレイン映像。
向井さんの視野。
CG俯瞰、事故状況。
字幕「注意の配分を誤った」
□事故防止法。
・向井の視線。
字幕「中心視と周辺視を活用」
・向井。停車。
対向車通過。
安全確認。
字幕「停止して安全確認」
?注意の選択性(テロップ)
□漢字ストループ
□被験者たちのようす。
・つい、うっかり、漢字を読んでしまったり、声が出ないなど。
?信号のある交差点・追突事故
(同乗者・家族を乗せて)
□霞ヶ浦俯瞰。
□家族で遠出のドライブをしてい
る野村(40代)。4人家族。
□助手席に中学生の息子、奥さんと中学生の娘は後部座席に。
□美しい風景の中、車は走る。
□風景を楽しむ家族たち。
息子が空腹を訴える。
□レストランを探すその視線。
目には、飲食店などさまざまな看板が飛び込む。戸惑う。
□娘と息子が喧嘩。その声が野村の耳に入る。
□信号のある交差点。前方には車が。
□「お父さん、あそこがいいよ」と突然指差す息子。
□「どこだ!」と、その声に思わず、店を確かめようとわき見。
□「お父さん、危ない!ブレーキ」と奥さん。
□その声に急ブレーキ。
□赤信号手前で停車した車に追突。
□CG。衝突。
□リフレイン映像。
字幕「注意の選択を誤った」
□CG。複数の情報が目や耳から入り混乱するイメージ。
□実写。1秒間で進む距離。
□事故防止法。
・同乗者たち。
字幕「同乗者は運転の集中を
妨げる行為をしない
大声をあげたりしない」
・運転する前の準備。
駐車場でカーナビの活用。
字幕「カーナビや地図などを
活用して運転計画を立て
る」
・シートベルト
字幕「後部座席でもシートベルトを!」
?注意力の持続性(テロップ)
□書字スリップ
紙に、数字1から10までの読み
方をひらがなで、できるだけ速く
書いてもらう。
字幕 数字1から10までを
「ひらがな」で書いてもらう
途中でアラビア数字に書き間違
える。手が止まるなどミスを犯
す。
□注意力の持続性のイメージCG。
◎直線道路 (歩行者の飛び出し)
□一日の仕事が終わりに近づく頃。
□溝口(30代)が会社に戻る。
□ほっと一息の溝口。
□直線道路は空いていてまっすぐな道が続く。
□薄暮。
□溝口の目。視線が一点に。
□進行方向右側から突然、横断歩行者が。
□急ハンドル、急ブレーキ。
しかし、鈍い音が。
□停止してクルマから慌てて降りる溝口。倒れている歩行者。
□リフレイン映像。
□CG。衝突。
字幕「注意が持続できなかった」
□CGグラフ。
運転開始後、間もなくの注意レベルのグラフと長時間運転時の注意レベルの比較。
□単調な道路。
□公園で休憩。
□CG 休憩。注意力が高くなる。
字幕「90分運転10分休憩で
注意力のレベルアップを!」
□ライトを点灯。
字幕「早めにライトオン」
?思い込みエラー(テロップ)
◎交差点・出会い頭事故(一時停止
無視で右からの車と衝突)
□通り慣れた道。松岡(女・30代)
が買い物に向かう。
いつもの時間にいつものスーパ
ーに。交通量の少ない住宅街。
□松岡。一時停止の交差点にさしかかる
□一時停止。
□松岡「!!」
急ブレーキ。
間に合わない。
□リフレイン映像。
字幕「車や歩行者などは
出てこないだろう」
□模範運転。
字幕「交通ルールを守る」
字幕「優先道路でも徐行
一時停止して安全確認」
字幕「~だろう運転ではなく
~こもしれない運転を」
□無事、交差点を通過。
?これまでの事例をフラッシュ。
?イラスト
□注意力を削ぐものを排除する。心の動揺、体調、飲酒。疲労、眠気。
?コメンタリー運転
□一般ドライバーが声だし呼称で運転。
字幕「コメンタリー運転」
□道路俯瞰。
□指導・協力タイトル。
□製作タイトル。
[解説]
1「安全確認は運転の基本中の基本です。ドライバーは誰でも十分にそのことを認識しているはずです。
おや、右ばかり見ていますね」
(衝突の効果音)
2「『はっきり確かめなかった』
『相手の動きに注意しなかった』
『見るべきものを見なかった』
『ぼんやりしていた』などの不注意。
『車や人は出て来ないだろう』といった思い込み。
交通事故の大半は、不注意や思い込みが原因で発生しています」
3「『人間はミスを犯す動物』といわれています。
運転中にミスを犯すと、交通事故という悲惨な結果が待っています。
では、不注意や思い込み運転はどうして起きるのか、こうした人間の弱点を乗り越えるためにはどうしたらいいのか事故事例から考えていきましょう」
4「運転では『認知,判断,操作』を頻繁に繰り返しています。
その間、目や耳などから入ってくる膨大な情報のすべてを受け入れているわけではなく、必要な情報を選んで脳に取り込んでいます。
その取り込みを支配しているのが、『注意』です。
けれど、注意はいつも100%完全に働いてくれるわけではありません。気まぐれなのです。
注意には、配分性、選択性、持続性
の三つの性質があるといいます」
5「注意の配分性の実験を見てみましょ
う。
いろいろな図形が描かれています。
この中心部の図形をしっかり見てもらいます。周りにはどんな図形があったか聞いてみましょう。
(被験者の答と感想)
…中心部をずっと見ていると周辺には何が描かれているかが見えにくいことが分かります」
6「わたしたちの視野は、範囲の狭い中心部分の視野・中心視と、その周辺部分の視野・周辺視の2つから構成されています。
中心視には10の注意のうち7割くらい、残り3割くらいが周辺視に向けられているといいます。
ふだんは、中心視と周辺視を活用して注意をどこにどの程度、配分するかを調整しています。
しかし、『注意の配分』がうまくいかなくなると事故が起こります」
7「住宅街の幅の狭い道路を向井さんが
走っています。
向井さんの視界に入ってきたのは、
左側を走る自転車と向かってくる
トラックです。
道幅が狭いので、トラックとのすれ
ちがいに気遣い、自転車を追い越し
てから左側に寄ろうとしました。
すると!
(衝撃音)
向井さんは自転車に接触してしま
いました。
この事故の原因を考えてみましょう」
8「向井さんは、自転車とトラックの存
在を認知し、はじめは両方に注意を
していました。
けれど、ほんの一瞬、トラックだけに注意が向けられ、自転車への注意がおろそかになりました。
つまり、注意の配分を誤ってしまったのです」
9「事故を防ぐためには、
中心視と周辺視を活用する。つまり万遍なく見て、広く情報を集め正しい判断をすることが大切です。
そのためには、時間をかけてよく見ることです。
したがって、手前で車を止め、対向車を通過させ、安全確認してから進行する。これが、事故を防ぐもっとも確実な方法です」
10「今度は、注意の選択性の実験をして
みましょう。
色のついた漢字が並んでいます。
漢字を読むのではなく、その色を
読み上げてもらいます。
では、どうぞ!」
11「思い通りにならないようですね」
12「色を読み上げようとしても、いつもの習慣で、つい文字を読んでしまいます。
注意を向けるべきところに向けなかったために起こったもので、これが『注意の選択ミス』です」
13「次は、情報が多すぎて、注意の選択が混乱してしまい事故になった例です。
野村さんの家族はドライブを楽しんでいます。
そろそろ、お昼時です。
…レストランを探すことになりま
した。
野村さんは、知らない土地なので
戸惑っています。
今度は、子供たちが何を食べるか、言い争い。その声も気になります。
信号のある交差点が近づいてきま
した。前方には車が。
わき見運転で追突事故を起こしてしまいました。
事故を起こすまでの野村さんの心の中を覗いてみましょう」
14「知らない土地でのレストラン探し。
さらに、子供たちの言い争い。
これでは運転に集中できません。
こうしたことに注意を奪われ、肝心道路状況への注意がおろそかになりました。
つまり、注意の選択を誤ってしまったのです」
15「複数の情報を同時に意識すると、一つ一つに十分な注意を注げなくなります。
『わき見運転』での事故は、注意の選択が分散して、何に注意を向けるかを忘れてしまうことによるものです」
16「たった1秒でも目を離すと、
時速40kmで車は11mも進むことを
忘れないでおきましょう」
17「こうした事故を防ぐには、
同乗者は運転の集中を妨げる行為をしないようにしましょう。
特に、瞬間的に注意をひく大きな音などは禁物です。
事前にカーナビや地図などで、運転計画を立て、ドライバーは運転だけに専念できるようにしましょう。
また、万が一の事故のために、後部座席でもシートベルトを装着してもらいましょう。これなら安心ですね」
18「次は、注意の持続性の実験です。
数字1から10までの読み方をひらがなで、できるだけ速く書いてもらいます。
どうなるでしょうか?
ついうっかりアラビア数字を書いたり手が止まったりします。
単調な作業を速く行うと、注意が持続できなくなってしまうことを示しています」
19「運転も時として単調になることがあ
ります。
注意レベルには高い低いがあり、長
時間、一定の水準を持続できないの
です。
注意が持続しなくなったときに起
こった事故例を見てみましょう」
20「溝口さんは、今日は早く仕事が終わり、会社に戻る途中です。
家に早く帰りたいので、休憩もとらずに2時間あまり運転しています。
交通量の少ない直線道路が続いています。
日が落ちてきました。
すると、道路を渡る歩行者が!
溝口さんは、歩行者に気づくのが遅れ、衝突してしまいました。
この事故の原因をあげてみましょう」
21「休みもとらず2時間あまりの運転。。
単調な道路が続きます。
道路に目は向けてはいるのですが、
漫然としています。
また、薄暮になって道路は見えにくくなってきたのにライトをつけません。
溝口さんは注意が持続できなくな
っていたのです」
22「人間の注意力はリラックスしている時は極端に低下するといいます。
運転開始後間もなくの場合、周期的
な注意の途切れが見られますが、
まだ緊張感があるので、すぐに修正
することができます。
ところが、運転時間が長くなると、
注意の途切れが長くなり、それに気
づく感度も鈍くなってきます。
本当は、疲れていながら、疲れが自
覚できなくなってしまうのです」
23「また、交通量の少ない単調な道路では、情報に対する感受性が弱くなり、注意力のレベルが著しく低下すします。こんなときは要注意です」
24「疲れの自覚の有無に関係なく、休憩
することが大切です。
『90分運転10分休憩』と決めておくことです。注意力のレベルアップにつながります。
また、早めのライトオンで相手の注意をひくことも大切です」
25「これまで、不注意による事故を紹介してきましたが、もうひとつ、人間は思い込みエラーをおかします」
26「午後の住宅街。
松岡さんは通り慣れた交通量の少ない道をいつものように買い物に向かっています。
松岡さんは一時停止をしなければなりません。
ところが!優先道路から車が!
出会い頭の衝突事故です」
26「この事故の原因をあげてみましょう。
この交差点は『通り慣れている道』ということです。
一時停止という目の前の状況をきちんと認識しないで、これまでの経験から「今の時間はクルマや歩行者は出てこないだろう」という自分勝手な「思い込み」が運転を支配してしまったのです」
27「通り慣れた道路でも、はじめて通る道と同じように周囲に気を配るようにします。
当然、交通ルールは守らなければなりません。
また、優先道路でも、徐行・一時停止など安全確認するように習慣付けることが大切です。
『だろう運転ではなく、かもしれない運転』を!」
28「残念なことですが、人間の注意力は
決して万全なものではないのです。
焦りや喧嘩など心の動揺、
体調が悪いとき、
飲酒、
疲労や眠気、
これらは注意力には大敵です。運転
しないようにしましょう」
29「注意力を高めるためには、プロドライバーのみなさんがよく行っている
コメンタリー運転という安全確認をすることもいいでしょう。実際にミスの発生率が低下しているのです。
……少し、照れくさいかもしれませんが、注意力を促すための一つの方法です」
30「注意・不注意は背中合わせ。
そして、人間の心には危険が潜んでい
ることを認識していつでも安全確認
することが大切です」
(終)