(サブ)
自分の心を自由にコントロールする方法があったとは!!
(タイトル)
脳のクセを使った集中力アップ・トレーニング
海保博之 心理学者
かいほ ひろゆき
1942年、千葉県生まれ。東京教育大学教育学部心理学科卒業。同大学大学院博士課程修了。教育学博士。2006年、筑波大学大学院人間総合科学研究科教授を定年退職。現在、東京成徳大学人文学部教授。著書に、『集中力を高めるトレーニング』(あさ出版)ほか多数。
(リード)
人間は環境に左右される生き物である。環境が変われば、気分も行動も変わる。すぐに集中したいときにも、この人間のクセを多いに利用してみてはいかがだろう。心理学者が集中力のヒントを開陳!
?過去に集中した場所をピックアップする
人間は過去の偶然の経験によって集中できるということがある。締め切りを過ぎた企画書を抱えていて、上司から再三にわたり催促される。しかし、書けない。会社にいると落ち着かないので仕方なくパソコンを抱えて喫茶店に逃げ込んだ。クラシック音楽を聴きコーヒーを飲むとリラックスして、書きはじめたところ、スラスラと文章が出てくる。あとはその日のうちに一気に書き上げてしまった。かくして喫茶店は、集中するのに絶好の場所となるのである。これを、環境の特定のものが人間のある特定の行為と結びつく「条件づけ」という。
?”はまる″状態を意図的につくり出す
パソコンやゲームが好きな人は経験があると思うが、一度始めると、ほんのちょっとのつもりが30分になり、1時間になってやめらないことがある。めまぐるしいキー操作の一つひとつに対して、すぐに勝ち負け、あるいは画面上での変化が返ってくることが、集中力の持続を促している。これを「即時強化の原理」と呼ぶ。したがって、難しい仕事の場合は、「進捗状況をその都度、表やグラフにまとめる」
「その日の成果や課題をその日のうちにチェックする」「問題を解決したらすぐに上司に報告する」など、何かをしたらすぐにその結果をチェックできるようにしておくとよい。
?大きな目標をときどき思い出す
毎日忙しく過ごしていると、ついつい自分がなぜそれほど忙しく生活しているのか、みえなくなる。それが集中力を低下させる原因となる。解決法としては、折にふれて大きな目標を思い出すのである。つまり、「目標意識の階層化」である。年間目標、月間目標、週間目標、日間目標など、目標の大きさはさまざまだが、大きな目標と小さな目標を行ったり来たりしながら、いまの仕事を位置づけるのがよい。また、行動をコントールするための目標は、具体的であるほどよい。「社会に貢献する」よりも「売れる商品をつくる」ほうが、いま何をなすべきかがはっきりしてきます。
?「~しながら」でも集中はできる
ラジオを聴きながら勉強する、テレビを観ながら新聞を読む、これらは集中できない典型的なパターンである。しかし”ながら族″でも、結果的に集中できる場合がある。注意を必要とするメインの仕事と注意を必要としないサブの行為を組み合わせるのである。パソコンを打ちながら、クラシック音楽を聴く。本を読みながら、健康バイクを漕ぐのである。これは、「注意の時分割方式」と呼び、一方に集中力がなくなると、瞬間的に意識が他方に切り替わる。すぐに他方でも集中力が途切れると、再び仕事に切り替わる。無意識に起こっているので、結果として仕事に集中できているのである。
?気になることには素直に注意を傾ける
生き物には「定位反射」というものが備わっており、いつもと違った環境に出合うと、それまでやっていたことをやめて、そちらのほうに頭や身体を向けて注意を集中するようにできている。その性質を受け入れてしまうという手もある。無理やり、雑音を無視して集中しようとすると、かえってストレスになる。それよりも、気になることの正体を確かめてしまったほうが、楽になる。気になる音楽が流れてきたら耳を傾ける。気になる週刊誌の記事はざっと読むか切り取っておく。そうやって気持ちをすっきりさせて本来の仕事に戻ったほうが、仕事がはかどることが多い。
5)趣味で集中力のトレーニングをする
リラックスには、消極的なリラックスと積極的リラックスがある。消極的リラックスとは、ぼんやりすること、のんびりすること、ゴロ寝をすることである。一方、積極的リラックストとは、仕事や勉強とは違った趣味や遊びなどに没頭することである。どちらも大切だが、後者は、前向きであることに注目したい。カラオケで歌って盛り上がったら予約時間を過ぎていた。小説を読みはじめたら一気に読んでしまった。でも、疲れていない。つまり、好きなことへの集中力は持続するのである。よく遊べる人によく働ける人が多いのは、趣味の中で集中力のトレーニングを行なっているからである。
自分の心を自由にコントロールする方法があったとは!!
(タイトル)
脳のクセを使った集中力アップ・トレーニング
海保博之 心理学者
かいほ ひろゆき
1942年、千葉県生まれ。東京教育大学教育学部心理学科卒業。同大学大学院博士課程修了。教育学博士。2006年、筑波大学大学院人間総合科学研究科教授を定年退職。現在、東京成徳大学人文学部教授。著書に、『集中力を高めるトレーニング』(あさ出版)ほか多数。
(リード)
人間は環境に左右される生き物である。環境が変われば、気分も行動も変わる。すぐに集中したいときにも、この人間のクセを多いに利用してみてはいかがだろう。心理学者が集中力のヒントを開陳!
?過去に集中した場所をピックアップする
人間は過去の偶然の経験によって集中できるということがある。締め切りを過ぎた企画書を抱えていて、上司から再三にわたり催促される。しかし、書けない。会社にいると落ち着かないので仕方なくパソコンを抱えて喫茶店に逃げ込んだ。クラシック音楽を聴きコーヒーを飲むとリラックスして、書きはじめたところ、スラスラと文章が出てくる。あとはその日のうちに一気に書き上げてしまった。かくして喫茶店は、集中するのに絶好の場所となるのである。これを、環境の特定のものが人間のある特定の行為と結びつく「条件づけ」という。
?”はまる″状態を意図的につくり出す
パソコンやゲームが好きな人は経験があると思うが、一度始めると、ほんのちょっとのつもりが30分になり、1時間になってやめらないことがある。めまぐるしいキー操作の一つひとつに対して、すぐに勝ち負け、あるいは画面上での変化が返ってくることが、集中力の持続を促している。これを「即時強化の原理」と呼ぶ。したがって、難しい仕事の場合は、「進捗状況をその都度、表やグラフにまとめる」
「その日の成果や課題をその日のうちにチェックする」「問題を解決したらすぐに上司に報告する」など、何かをしたらすぐにその結果をチェックできるようにしておくとよい。
?大きな目標をときどき思い出す
毎日忙しく過ごしていると、ついつい自分がなぜそれほど忙しく生活しているのか、みえなくなる。それが集中力を低下させる原因となる。解決法としては、折にふれて大きな目標を思い出すのである。つまり、「目標意識の階層化」である。年間目標、月間目標、週間目標、日間目標など、目標の大きさはさまざまだが、大きな目標と小さな目標を行ったり来たりしながら、いまの仕事を位置づけるのがよい。また、行動をコントールするための目標は、具体的であるほどよい。「社会に貢献する」よりも「売れる商品をつくる」ほうが、いま何をなすべきかがはっきりしてきます。
?「~しながら」でも集中はできる
ラジオを聴きながら勉強する、テレビを観ながら新聞を読む、これらは集中できない典型的なパターンである。しかし”ながら族″でも、結果的に集中できる場合がある。注意を必要とするメインの仕事と注意を必要としないサブの行為を組み合わせるのである。パソコンを打ちながら、クラシック音楽を聴く。本を読みながら、健康バイクを漕ぐのである。これは、「注意の時分割方式」と呼び、一方に集中力がなくなると、瞬間的に意識が他方に切り替わる。すぐに他方でも集中力が途切れると、再び仕事に切り替わる。無意識に起こっているので、結果として仕事に集中できているのである。
?気になることには素直に注意を傾ける
生き物には「定位反射」というものが備わっており、いつもと違った環境に出合うと、それまでやっていたことをやめて、そちらのほうに頭や身体を向けて注意を集中するようにできている。その性質を受け入れてしまうという手もある。無理やり、雑音を無視して集中しようとすると、かえってストレスになる。それよりも、気になることの正体を確かめてしまったほうが、楽になる。気になる音楽が流れてきたら耳を傾ける。気になる週刊誌の記事はざっと読むか切り取っておく。そうやって気持ちをすっきりさせて本来の仕事に戻ったほうが、仕事がはかどることが多い。
5)趣味で集中力のトレーニングをする
リラックスには、消極的なリラックスと積極的リラックスがある。消極的リラックスとは、ぼんやりすること、のんびりすること、ゴロ寝をすることである。一方、積極的リラックストとは、仕事や勉強とは違った趣味や遊びなどに没頭することである。どちらも大切だが、後者は、前向きであることに注目したい。カラオケで歌って盛り上がったら予約時間を過ぎていた。小説を読みはじめたら一気に読んでしまった。でも、疲れていない。つまり、好きなことへの集中力は持続するのである。よく遊べる人によく働ける人が多いのは、趣味の中で集中力のトレーニングを行なっているからである。