03/12/28海保
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30字 20行 「解説」だけで600字 イラストを除いて
第21回 ヒヤリハットの心理学
●見えないものの危険
イラスト案****
防護具を首にぶら下げて、タンク清掃のため中に入ろうとした。充満していた硫化水素(いそうを含む有機物の「腐敗によって」発生する無色の有毒ガス)を吸い込みそうになってひやり
「解説」
人間には5官(視聴嗅味触)が備わっていますが、そのすべてが等しく外界を知るのに使われているわけではありません。もっぱら視覚と聴覚に頼っています。
したがって、見てわかる危険、聞いてわかる危険の認知は、かなり高い感度と精度でできますが、嗅味触覚にかかわる危険についての認知は、その存在さえ知ることができないほど貧弱です。人が倒れてからでないと、あるいは、爆発が起こってからでないと、危険であるとの状況認識ができません。
無色ではあっても悪臭を発するものなら、危険性を察知できますが、炭酸ガスになると無色無臭ですから、そうはいきません。
もう一つ、危険認知について、この嗅味触覚は困ったことがあります。それは、とりわけ味覚と触覚は、その危険なものと接触しないと危険かどうかがわからないことです。臭覚でもかなり危険に近づかないと危険を察知できません。
「類似ケース」
○腐ってそうには見えなかったが、食べてみて腐っているのがわかったので吐き出した。
○なべが熱いのを知らないでさわってしまいやけどをしてしまった。
○空のタンクの清掃をしようとして掃除機の電源を入れたら、残留ガスが爆発した。
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30字 23行 700字 タイトル抜き、本文のみ
21回 徹底追及 ヒヤリハットの心理背景解説
「見えない、聞こえない危険にはどう対処したらよいのでしょうか?」
「背景解説」
まずは、危険をいかに察知するかです。
原始感覚とも呼ばれる臭味触覚に限りませんが、感覚は実は、5官それぞれが単独で働いていることはまれです。5官全体を使って外界を認識しています。なんとなく危険そうだ、というような感じを持たれることがあると思いますが、そんなときは5官がフル稼働しているときです。
慣れ親しんでいる状況では、こうしたおかしいという感じ(直感)を大切にすることです。なお、熟練者になるほど、その直感は鋭くなります。
そうした直感の後、空気防護具をきちんと装着して慎重に危険に近づき、計測機器を使って、危険な状態を詳細に調べることになります。
あとは、知識に頼るしかありません。どんなときにどんな見えない、聞こえない危険があるかを、知識として持ってもらうことになります。しかし、知識も頭の中に隠れていますから、その時タイミングよく思い出してもらえるとは限りません。マニュアルや表示での危険のアピール、さらには、よく見えるところに防護具を置いておくのも一計です。
なお、救助に行った人が、危険の正体が見えないだけに、また災害に巻き込まれる2次災害にも注意が必要です。
チェック「あなたのは原始感覚の鋭敏度は?」******
自分に「最もあてはまるときを”3”」「まったく当てはまらないときを”1”」として3段階で判定してください。
□腐った食べ物は食べる前にたいていは気がつく
□味には敏感
□臭いには敏感
□肌触りにはうるさい
□グルメ志向のほう
*10点以上なら、近感覚度は高い方です。
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