05/4/7海保 講演20分
NPO法人「人間中心設計推進機構」の発足にあたり
筑波大学大学院人間総合科学研究科(心理学)教授 海保博之
●「人間中心」が至るところで「実質化」してきた
企業にとって株主
生産者にとって消費者
メーカーにとってユーザ
政治家にとって有権者
カウンセラーにとって来談者(クライアント)
教師にとって子ども
そして
人工物設計者にとって人間
「株主、消費者、ユーザ、有権者、来談者(クライアント)、
子ども、そして人間」
をとらえ損ねると、破滅する時代になった。
● 「人間中心」とはどういうことか
1) 基本は、人間を大切にすること
2) その上で、その人間が考え、望んでいることを、しっかりととらえること。
3) そして、その人間の考えと望みにかなう情報の提供と行動をすること
● 一つのエピソードから
毎年年末に泊まることにしている、ある一流ホテルでの経験
ほぼ完璧な接客サービスが提供されているにもかかわらず
・ スパに附属する風呂のお湯が出せない
・ バスのシャワーの温度調節がわかりにくい
・ 床のカーペットの模様が段差を見えにくくしている
・ カーテンの開閉ができない(ガーデン・ビューを売り物にしているのに!)
などの不具合が改善されないままずっときている。
● 人間中心設計推進機構に期待すること
1)啓蒙・普及活動
・人間中心の考え方とは
・ 人間のソフトウエアに目を向けることの大事さ
・ あらゆる分野へ
2)研究活動
・ 人間中心設計の原則の確立とガイドラインの開発
・ 標準的な評価手法の確立
3)実践活動
・「人間中心設計」の認証活動
・人間中心設計認定資格試験の実施