

3 別のことにも集中してみる
リラックスするとは、ぼんやりすること、のんびりすること、ボケーツとすること、ゴロ寝をすることだけではない。こうした消極的なリラックスにも無論それなりの効果はある。週1日くらいで取りたいものである。それに加えて、積極的リラックスもできれるようにしておいたほうが良い。
積極的リラックスとは、仕事や勉強とは違った、たとえば趣味や遊びなどに没頭することである。これがどうしてリラックスすることになるのか、少し説明が必要かもしれない。
趣味に没頭するのも、仕事に没頭するのも、注意を使う点では同じである。注意は使えば減る。仕事で使ってしまえば、趣味に使う注意はなくなってしまうはずである。また、趣味に使ってしまえば、仕事に使える注意のエネルギーはなくなってしまうはずである。
もったいないから、仕事以外の時にはできるだけ注意を温存しておこうと考えたとしても、それは当然である。消極的リラックスの効用はここにある。
しかし、次のように考えてもらうと、ここで言いたいことがわかってもらえると思う。つまり、人間の注意のエネルギーは、自分の好きなことをする時には、ごく短時間で補給されると考えるのである。
マージャンをしていて気がついたら夜があけていた、テニスをしていて約束の時間が過ぎてしまったなどなど、誰でもこういう経験があるはずである。普通ならどこかで飽きがくるはずなのに、知らずしらずのうちに熱中してしまい時間を忘れる。
こんなことができるのも、注意集中のエネルギーがたえず補強されているからだと考えれば説明がつく。いわば、エネルギーの新陳代謝が、好きなことをしている時には極めて盛んなのである。
こうした新陳代謝を経験しておくと、これが勉強や仕事にも波及して、スムーズにエネルギーが補給できるようになる。別のことに集中するのは、いわば本業での集中力の発揮のためのトレーニングなのである。