「日雇い派遣」が問題になったら禁止し、漁師がデモをしたら燃費を税金で補填する、といったtime-inconsistentな政策は、個別にはいいことをしているようにみえても、全体としては市場のルールを破壊し、日本経済の停滞をさらに深刻化させるだろう。そして「麻生政権」は、こうした徳政令路線に舵を切ろうとしているようにみえる。
(池田ブログより)
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徳政令は、政治家にとって、自分の権力を国民にわかりやすく可視化できる
切り札、ないしは、麻薬
1980年代、人工知能研究が盛んだった。コンピュータに知識を埋め込んで、世界を理解させようとしたわけである。そうした試みの中で一つの思考実験を想定してみる。
「お腹が痛い。どうしたんだろう」とコンピュータに問いかけた。コンピュータは腹痛の原因を100個列挙して、このうちのどれかだと思うとして、さらに、原因追求のための質問をしてくる。それに答えることを繰り返していると、原因が次第に絞られてきた。そこで、「では、どうしたらいいか」と訪ねると、またまた100の可能性を列挙してきた。それから可能性を絞るための、またまた延々とやりとりをしているうちに、その人が死んでしまった。
ここまで、知識情報処理とわかりやすさの話をしてきたが、知識がどれほど豊富だったとしても、それだけで人のわかりやすさが説明できるわけではない。
この思考実験で、コンピュータの代わりに人間の医師を想定したら、知識処理だけに依存するコンピュータの限界にたちどころに気がつくはずである。
ここには、2つの問題がある。
一つは、そもそも世の中を理解するの十分な知識を人でもコンピュータでも貯蔵することが出来るかという問題である。少なくともコンピュータにはできない(フレーム問題)とされているが、人ではどうであろうか。これに対する一つの答えが、状況論から提案されている。
もう一つの問題は、なぜ、十分な知識がなくとも、医者は(おおくの場合)的確な診断ができるのかという問題である。直感判断や熟達者の判断のメカニズムの解明がまたれることになる。
「お腹が痛い。どうしたんだろう」とコンピュータに問いかけた。コンピュータは腹痛の原因を100個列挙して、このうちのどれかだと思うとして、さらに、原因追求のための質問をしてくる。それに答えることを繰り返していると、原因が次第に絞られてきた。そこで、「では、どうしたらいいか」と訪ねると、またまた100の可能性を列挙してきた。それから可能性を絞るための、またまた延々とやりとりをしているうちに、その人が死んでしまった。
ここまで、知識情報処理とわかりやすさの話をしてきたが、知識がどれほど豊富だったとしても、それだけで人のわかりやすさが説明できるわけではない。
この思考実験で、コンピュータの代わりに人間の医師を想定したら、知識処理だけに依存するコンピュータの限界にたちどころに気がつくはずである。
ここには、2つの問題がある。
一つは、そもそも世の中を理解するの十分な知識を人でもコンピュータでも貯蔵することが出来るかという問題である。少なくともコンピュータにはできない(フレーム問題)とされているが、人ではどうであろうか。これに対する一つの答えが、状況論から提案されている。
もう一つの問題は、なぜ、十分な知識がなくとも、医者は(おおくの場合)的確な診断ができるのかという問題である。直感判断や熟達者の判断のメカニズムの解明がまたれることになる。
今日の箴言、名言集 03/11/17
「わかりやすい、だれにでもわかる文章というものには、ごまかしが入る場合があります。自分の知らないこと、自分がちょっとぼんやりしていることをごまかすことがある」(司馬遼太郎全講演集1、170、朝日文庫)
「わかりやすい、だれにでもわかる文章というものには、ごまかしが入る場合があります。自分の知らないこと、自分がちょっとぼんやりしていることをごまかすことがある」(司馬遼太郎全講演集1、170、朝日文庫)
認知発達(cognitive development)〔1991年版 心理学〕」
認知機能は誕生の瞬間から、生得的に組み込まれた機構を使って、活動を開始する。光りに眼球は反応するし、動く物体を追視することもできる。生後2カ月くらいで、すでに意味のある絵のほうをよく見る傾向を示す。環境から膨大な情報を取り込んで、知識として長期記憶に貯蔵していく。これが初期学習である。しかし、なんらかの理由で、しかるべき時期に、生得的な機構を開発する環境刺激が与えられないと、後の認知発達に障害が起こる。この時期を臨界期と呼ぶ。言語習得の臨界期は2歳くらいまでとされている。
一定量の知識が貯蔵されると、その知識を最大限に活用して、さらに学習が進む。J・ピアジェは、この過程を同化と調節ということばでモデル化している。
同化とは、与えられた情報を貯蔵されている知識のなかに取り込むこと、調節とは、貯蔵されている知識の更新・変更によって情報を取り込むことである。
同化できる情報のときは「よくわかる」、調節を促す情報のときは「はてな」という主観的な体験をもたらす。同化と調節がほどよく行われているとき、知的に適応しているという。
認知機能は誕生の瞬間から、生得的に組み込まれた機構を使って、活動を開始する。光りに眼球は反応するし、動く物体を追視することもできる。生後2カ月くらいで、すでに意味のある絵のほうをよく見る傾向を示す。環境から膨大な情報を取り込んで、知識として長期記憶に貯蔵していく。これが初期学習である。しかし、なんらかの理由で、しかるべき時期に、生得的な機構を開発する環境刺激が与えられないと、後の認知発達に障害が起こる。この時期を臨界期と呼ぶ。言語習得の臨界期は2歳くらいまでとされている。
一定量の知識が貯蔵されると、その知識を最大限に活用して、さらに学習が進む。J・ピアジェは、この過程を同化と調節ということばでモデル化している。
同化とは、与えられた情報を貯蔵されている知識のなかに取り込むこと、調節とは、貯蔵されている知識の更新・変更によって情報を取り込むことである。
同化できる情報のときは「よくわかる」、調節を促す情報のときは「はてな」という主観的な体験をもたらす。同化と調節がほどよく行われているとき、知的に適応しているという。