● 批判の4つのタイプ
批判にはいくつかのタイプがあります。
① 論理展開がおかしいから
自衛隊イラク派遣の論拠を問われて、小泉首相「自衛隊の活動している地域は非戦闘地域だ」という名(迷)答弁がありました。(論理破綻なのですが、不思議に納得してしまうようなところがありますね。)
論理にも記号論理のごとく、正誤がきっちりと決まっているものから、「嫌いだから嫌い」といった感情論理まで、さまざまですが、おおむね、その間違いを指摘して批判することは許されています。
② 信条、信念が気にくわないから
「考え方(信条、信念)の違いだからしょうがない」というような言い方をよく耳にしますね。
これは、いくら批判しても、批判のしがいがないことを認めたセリフですが、
批判としては、かなり大事なものです。
なぜかというと、信条、信念は、現状認識も行為も、さらに生き方をもガイドするからです。
ただ、それを批判しても、それが誤っているか妥当なのかは、批判する本人にも、にわかには判断できないところがあります。
キーワード「信念」のところで述べたようなカウンセリング場面でしたら、批判とは違った、それなりの手法を使うことが可能ですが、普通の状況では、なかなか難しいところがあります。
だから、批判はしない、という選択もありです。無駄なことはしないという選択も、あって当然です。
しかし、信条、信念にも明らかに誤り、妥当でないというものもごまんとあります。それには、証拠を挙げて辛抱強く批判しないと、進歩がありません。
学問の世界は、こうした批判あり、を前提に営まれています。
③感性が受け付けないから
通販で買った背広がイマイチ気に入らない、なんてことはよくあります。
お見合いした。そこといって難点はないが、なんとなく気にいらない。
よくある話ですね。
要するに、あなたの感性が受け付けないというものです。だから批判するというのでは、批判されたほうは、たまりませんね。
でも、世の中、結構、これで動いているのも事実です。
商品開発では、ターゲットユーザーの感性を無視できません。
④ その人が嫌いだから
会議などで山口さんの提案にはいつも賛成、田中さんの意見にはいつも反対、というようなことはありませんか。
提案や意見の妥当性や賛否を、その内容からではなく、誰が言ったかだけから判断するものです。属人思考と言われています。
属人思考は、批判の邪道なのですが、同じ組織の中で長い間一緒に仕事をしていたりすると意外によく使われます。
なんといっても便利です。しかも、賛成する仲間どうしの絆を強めます。
しかし、その危うさは、あらためて言うまでもないですね。