認知エキスパート(cognitive expert)〔1991年版 現代用語の基礎知識 心理学〕
種々の認知機能において、並み外れた能力を示すもう一つのケースが認知エキスパート(専門家、熟達者)である。生まれたばかりの雛の雌雄弁別の得意な人、計算機並の計算技能を持つ人、円周率を10万桁も暗記している人、独特の勘で将来の株の値上りを予測できる人などなど。認知エキスパートは、超記憶者と異なり、長年の経験のなかで自分なりに習得してきた方法を使っている。
たとえば記憶術者は、覚えるものを頭のなかで連合させるための符号表を使っていたり、計算エキスパートは、頭の中でそろばんを動かしたりしている。
したがって、その方法を使うことを訓練すれば、誰しもが一定レベルの認知エキスパートになれる。問題は、しばしば、エキスパート自身にさえ、自分がどのような方法をどのように使っているかがわからないことである。
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