認知と学習の心理学」培風館
3章 書く
3.1 書くのが好き
●書けなくて七転八倒
●書くのが大好き人間に大変身
3.2 書くのがつらいのはどうして
●書くのは面倒
●思いの世界と表現の世界とのギャップが大きい
●書くことを制約するリテラシーが面倒
● あらたまったお膳立てが必要
3.3 書くことが好きになるために
●書けなくとも困らない?
●ともかく書くこと
●自分を出す
●読み手を意識すること
●外的制約を課す
3.4 文章作成環境が格段に良くなった
●「原稿用紙」はまもなく死語
●ワープロがもたらしてくれたこと
● 自己表現の場が広がった
●
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3章 書く
3.1 書くのが好き
●書けなくて七転八倒
今でもしっかりと覚えているが、書けなくて七転八倒したのは、はじめての大作?「メッシュ化されたカタカナ文字の視認性」という卒業論文を書いていた時であった。
内容は、実験報告でごくオーソドックスなもので、大作とはいってもその当時の自分にとっては、ということで、400字詰原稿用紙でわずか50枚程度のものであった。にもかかわらず、机に向かってうんうんうなっていた。よほどつらかったとみえて、40年もたっているのに、その光景は今でも自宅の勉強部屋の状況とともにしっかりと目に浮かぶ。
フラッシュバルブ記憶である。
コラム「フラッシュバルブ記憶」******
自分自身の一生の記憶を自伝的記憶という。その中で、フラッシュバルブ記憶は、誰しもがいくつかはかかえているはずの記憶である。強い感情を惹起された場面が、あたかも写真のフラッシュをたいて写したかのように記憶されている現象である。
感情にはポジティブ(うれしい、楽しい)とネガティブ(悲しい、つまらない)があるが、いずれも、強い感情が惹起された時の場面が記憶に強く残る。
筆者のフラッシュバルブ記憶の例。
・大学入試の合格発表で自分の番号を見つけ、事務の窓口に手続の書類をもらいにいったら、その番号ありませんよ、と言われた瞬間。(実は相手のチェックミスだった。)
・祖母が亡くなったことを中学校の教室で担任からつげられた瞬間。
・アームストロング船長が月に第一歩を踏みだした瞬間のTV視聴をしていた場面
こうしたフラッシュバルブ記憶が、人が過去をふり返る時の里程標になっているのであろう。
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●書くのが大好き人間に大変身
それが、書くのが大好き人間になってしまったのである。きっかけは、今にして思うと、23年前のアメリカでの在外研究ではなかったかと思う。
英語が聞き取れない、したがって話せないままの10か月はつらいものがあった。そのうさをはらすためであったのだろう。アメリカ滞在記録のようなものを書いては大学院生に郵便で送っていた。週に1,2回は書いて送っていた。それを保管しておいてもらい、帰国してから、それを掲載するための「Compter & Cognition」というA4の裏紙を使ったニューズレターを毎週発行するようにしたのである。そして、さらにその中に、「認知的体験」と称して、自分の頭の中で起こったことや考えたことなども短い記録として掲載するようにしたのである。2章にその一部を紹介した。
これによって、文章を書くおもしろさを知った。そして、書けば書くほど書くことが楽しくなることもわかった。
それで勢いがついて、これもアメリカ滞在経験の中で頭にひっかかっていた安全やヒューマンエラーに対する考えの我彼の違いを、講談社の現代新書に書くという冒険に挑んでみた。原稿用紙300枚くらい、研究論文のスタイルとはまったく違った表現への初挑戦をしてみた。
これで、人にわかってもらい納得してもらう表現とはどういうものかをしっかりと体得した。
これが、自分の表現のいわばブレークスルーになったと思う。まったく書くことが苦痛でなくなったのである。それどころか、書いていないと不安でしかたないような気分になることさえあった。それは今でも続いている。
ガードナーの多重知能論というのがあります
8つくらいの知能があるという単純なお話ですが
そのなかに
「内省的知能」があります
①自分自身を理解する能力
②自分自身の心についてのイメージ(モデル)をもつ
③そのモデルに基づいて自分を律する
結果として
④自分と仲良くなれる人を見つけることができて
⑤大きな誤りをしない
⑥できることとできないことを知っている
⑦助けが必要なときたすけてもらう人や方法を知っている
8つくらいの知能があるという単純なお話ですが
そのなかに
「内省的知能」があります
①自分自身を理解する能力
②自分自身の心についてのイメージ(モデル)をもつ
③そのモデルに基づいて自分を律する
結果として
④自分と仲良くなれる人を見つけることができて
⑤大きな誤りをしない
⑥できることとできないことを知っている
⑦助けが必要なときたすけてもらう人や方法を知っている