ファン「気持ちを元気に 4-26
「ファンの心は恋心」
● ファンの心理と恋の心理
ファン心理と恋の心理とは極めて似ています。
まず、それに対して、無私、一体感、高揚感といったようなポジティブな気持ちに浸りまくります。
そして、情報探索も、それに集中的に行われています。それが、いつどこで何をしているかを知悉しています。
こうしたファン心理。でも、恋の心理とは次の点で違いがあります。
一つは、それを自分一人で独占したくなるかどうかです。恋人を仲間と共有して喜ぶなんてありえないですね。それに対して、アイドルのファンなら、仲間と一緒に追っかけをして一緒に熱狂できます。
もう一つは、ファン心理は、徹頭徹尾、一方向的です。それが極端になってファン行動の枠を超えてしまったものがストーカーです。それに対して、恋は、基本的に、双方向的です。愛し愛される、give&give関係になります。
熱烈ファンの皆さん、元気一杯、至福状態ですね。というわけで、今回は、ファン心理を取り上げてみたいと思います。
なお、ファンには、物と者とがありますが、ここでは、者についてのファンだけに話を限定します。
● なぜ、ファンになるのか
これ対する答えは、ひとこと、「好きだから」で終わり。
でもそれでは、つまらないので、さらに、なぜ、好きになったのか、まで問い詰めてみたいところですね。恋人関係が発覚すると、芸能ニュースのインタビューで、「どういうところが好きになったのですか」と問い詰める、あれです。
「別に」「そんなこと聞かれても困ります」というのが本心ではないかと思いますが、でもインタビューされてそれを言ってしまっては終わりです。それで、マスコミパッシングされたアイドルがいましたね。そこで、「やさしいところ」「よく気がつくところ」などなど、とってつけたようなコメントをするのが常です。
でも、それって本当でしょうか。それが原因で好きという結果になったのでしょうか。
なんだか、後からまさに「とってつけた」理屈のように思えますね。
そうなんです。実は、こうした判断をするときに、2つの情報処理過程が同時に並行しているのです。
一つは、好きと直観的に判断するための情報処理過程、もう一つは、それにやや遅れて行われるゆっくりした知的な情報処理です。
何々だから好きになった、というより、好きになった、そのわけはよくよく考えてみると、ということなのです。後付け理屈になります。したがって、真半分、嘘半分というところでしょうか。
話がずれてしまいました。なぜ、ファンになるのかでした。
言いたかったことは、好きになったのには理屈なしということです。結婚まで想定する恋ならともかく、イチローが好き、高橋真梨子子が好きに、そうさせた理由はそれほどはっきりしたものはないというのが本当のところです。
全然、話の筋とは関係ないのですが、今読んでいる村上春樹著「浜辺のカフカ」にこんな1節がありましたので、紹介しておきます。
「中日ドラゴンズが読売ジャイアンツに勝つことで、俺という人間が少しでも向上するのだろうか? するわけないよな。と青年は思った。じゃあなんでそんなものを、まるで自分の分身みたいに今まで一生懸命応援してきたんだろう?」
関連してもう一つ。オグリキャップという競走馬のお別れ会が何度もニュースで放映されていました。熱烈ファンが涙ながらに「元気をもらいました」と語っていました。村上氏ならずとも、ファン心理には驚かされます。
● ファンになって心元気になるコツ
「好きに理屈なし」となると、なかなか、この項を書くのは難しいのですが、昔々を思い出しながらやってみます。
① 気持ちを大事にする
好きになったら、それはそれで宝くじにでも当たったつもりで喜ぶべきです。どうして好きになってしまったのかなどと思案せずに、その気持ちを大事にして温めるのです。そして、熱中するのです。
② 情報を集める
気持ちを持続させるためには、知性化することも大事です。気持ちだけでの持続はなかなか難しいからです。
それについて情報を集め、自分なりのデータベースを作り、それを絶えず更新するのです。情報集めにお金と労力をおしまないことです。
チームをバックアップしているデパートが、チームの優勝セールスで大もうけは毎年繰り返されますが、でも、そんなあやかり精神も、ファン心理を盛り上げます。
③動いてみる
気持ちと知性だけでは熱烈ファンは無理です。はやり追っかけ心ですね。実際に追っかけができなくとも、仮想的に、たとえば、映画やTVでということは可能です。
③ 仲間を作る
初戦勝利で世界ワールドサッカーが盛り上がっています。
TV局がセットしたのではないかと思いますが、応援仲間が一箇所に集まって熱狂シーンが放映されます。
ファン心理を高揚するには、しかし、仲間は欠かせません。ライブ会場での仲間との一体感、ブログなどでの情報交流、あるいはファンクラブ。
動きながら、仲間を増やすことは、ファン心理を強め、持続し、さらに社会化するのに必須です。
なお、ファン心理の「社会化」について老婆心から一言。
ファン心理も孤立すると、危ないところがあります。ストーカー的な心理に陥る心配が一つ。
もう一つの心配は、仕事や生活との極端な乖離の発生です。仕事、生活あっての一時的なハレの世界で発揮されてこそファン心理は価値ありです。
マイブームという言葉を知りました。
世の中とは無関係に自分ひとりは待って満足しているもののことらしいです。
ファン心理と重なるところがありますが、はやり気になるのは、周りから孤立しているところです。