ヒヤリハットの心理(2) 事例
「安全具なしでの仕事は危険」
1
2事例「電動ノコを使用中、誤って手を巻き込まれそうになった!」
3 絵と文章 データベースからそのままを使う
4 (中災防HPデータベースN0.100029より)
5
「解説」
このケースの問題点は、作業環境が、補助木片を使用しなくとも仕事ができてしまうようになっていたことです。
人は横着です。一つ手順や安全具を省略しても仕事ができることがわかればそのほうが楽ですし、もし作業能率を厳しく査定される職場ならそのほうが能率がよいので、折りあらば---とりわけ、補助木片がそこになかったり、破損していたりすれば---それを使わないで仕事をしてしまいたくなります。これが人の性(さが)です。
そして、作業に慣れてくると、こんどは横着からではなく、自分なりの工夫をしてみたくなります。安全具なしでの作業や別の手順を試したくなります。これもまた人の性(さが)かもしれません。「一人前になる直前が危ない」との経験則もうなずけるところがあります。
いずれにしても、ここでは、補助木片を使わなければ本体の木材が丸ノコに当てられないような仕掛け(インターロックやチェック体制)を作り込むことが安全対策の王道です。
それが無理なら、最低限するべきことは、注意書きを、その場に書いておくことです。ただ、これは、常時そこにあると、表示効果が薄れてしまいますので、手を変え品を変えて表示するような工夫が必要です。
「類似ケース」
○シートベルトをしないで運転して、急ブレーキをかけて、ハンドルに胸をぶつけてしまった。
○保護手袋をしないで、硫酸をビンから移していたら、危うく手に垂れそうになった。
****本文 23行 イラストを除く
02/10/28海保
111112222233333444445555566666
30字 23行 700字 海保博之
第2回「徹底追及;ヒヤリハットの心理」背景解説
タイトル「安全具を省略したくなるのは、なぜなのですか」
あなたがはじめての職場で仕事をすることを考えてみてください。
その仕事をするための手順や、どこにどんな危険があるかを教えてもらったら、その通りに一つ一つ仕事をこなしていくはずです。時にはちょっとしたミスや失敗をしたりしながら、緊張感をもって仕事をするはずです。
このような仕事の仕方をルールベースの仕事と言うことがあります。こんなときには、安全具なしや手順の省略はまず起こりません。
ところが、次第に仕事に慣れてくると、どんなことが起こるでしょうか。
まず、手順を意識しなくなります。手順の透明化が起こります。
仕事をするのが楽になり、無理、無駄、ムラ(3つのム)がなくなります。そして、自分なら「もっと楽に」「効率的にできそう」と思うようになります。
また、安全具についても、これくらいならなくとも大丈夫となります。付けないほうが、身のこなしが楽になります。安全具をつけないで仕事ができる自分に有能感さえ感じてしまいます。
チェック「あなたの有能感はどれくらい?」*******************
自分へのあてはまりの程度を3段階で答えてください。
1)なぜ、こんな手順に従わう必要があるのか疑問に思うことが多い( )
2)もっと効率的な手順はないかを考えるほうだ( )
3)決められた手順を意識することは、あまりない( )
4)もっと楽に仕事ができないかを考えることが多い( )
5)自分はどんな仕事もこなせる( )
*******本文22行