◆原因帰属理論(attribution theory)
人は、成功したり失敗したりするとそれがどうして起こったかを知りたがる心性をもっている。どのようなときに、どのような人が、何に原因を求める傾向があるかについての心理学の理論が原因帰属理論とよばれるものである。
成功したときには、その原因を自分の能力や努力(内的帰属)に、失敗したときには、その原因を周囲の状況や不運(外的帰属)に帰せしめるのが、自己効力感を維持するのには都合がよい。この逆の帰属をすると無力感に陥ってしまう。
いずれの原因帰属をする傾向にあるかは、その人の性格にもよるところが大きいことが知られている。この理論のおもしろいのは、「客観的な」原因が何であるかを、科学者がするような原因追求の手順をふむことなく、自分なりに勝手に推測して理屈づけてしまい、それを生きていく糧にしてしまうところである(→「錯誤帰属」)。