自分で決断出来ない上司にイライラしています。
このようなご相談ははじめてなのですが、よろしくお願いいたします。
私は、とある銀行で法人営業を担当しています。 地元の中小企業の融資等の相談や決済等を担当しています。 今回の相談は、ある中小企業の融資に関する上司の意思決定が遅いことです。
ようやく景気が少しだけ上向いてきたようで、当行でも融資の相談が増えてきました。 それも、単なる資金繰りとかではなく、新規事業をしたいので、融資を申し込みたいという前向きのお話なのです。
ですが、私が一生懸命情報を収集し新規事業の成長性をアピールしても、上司は一向に上申するための決断をしてくれません。 多分、失敗すると自身が出世街道から外れてしまうのではないかというような危機感からだと思います。
仕事に対して慎重に物事を進めるという上司の対応は、私も学ぶべきところは多々あると思いますが、一方で、十分に条件をクリアしている案件であるにもかかわらず、ゴーサインを出してくれない上司に対してイライラしています。
このような上司に対して、何かいい対処方法はないでしょうか?
ご教授いただきたいと思います。
銀行 法人営業/28歳/男
そろそろ仕事人生の新たな段階。あせらず、仕事を組織になじませるのに必要なスキルを学ぶ段階かも。
>> 海保博之先生プロフィールはこちら
お答えします。
●攻めと守りのぶつかり合い
あなたは「事をすすめたい」、上司は「もうちょっと待って」という事態。
多分これからも、たとえ上司が代わっても、起こりうることではないかと思います。 あなたが仕事ができる、いや、できすぎるからかもしれません。 あなたが、上司の言われたことを言われたとおりにやっているなら、こんなイライラとは無縁なはずですから。
28歳、仕事が面白くて、しかもどんどんやれる時期、周りがあなたの思い通りに動く、動いて当然のような感じがする時期。 今のイライラは、そんなあなたが新たなステップへ上がるための学びの格好のチャンスです。
●仕事を組織になじむようにする
どんな仕事でも、仕事そのもののやり方を学ぶのがまずは第一です。 若いときには、もっぱら仕事にすべての力を傾注します。 そこで仕事力を身につけます。
仕事について10年間くらいが、ひたすら仕事力をつける時期になります。 あなたが大卒だとして、そろそろその終盤にさしかかっていると思います。 そのあとに続く10年は、その仕事力を組織の中でなじませることを学ぶ必要があります。 身につけた仕事力を組織のなかで活かすスキルが必要になります。 その一つが上司との適切な関係作りです。 それは、あなたが部下を持つようになったときに役立ちます。
今あなたを悩ませている問題を、こんなふうに位置づけをしてみましたが、いかがでしょうか。 ここでのイライラ、モヤモヤは、あなたが組織の中でもう一段ステップアップするための試練と考えて、あせらずに上司との関係づくりの中で仕事を見直してみたらいかがでしょうか。
「失敗するとご自身の出世街道から外れてしまうのではないかというような危機感から」と決め付けてしまっては、身も蓋もありません。 もうすこし別の観点は無いないでしょうか。 違う目線、立場だとどうなるのか?など、いろいろ考え方を変えてみることが大切になります。
たとえば、
・あなたの仕事ぶりへのなんらかの暗黙の評価、チェックになっていないか。
・他の決済案件とのバランスと整合をとろうとしているのではないか。
・過去の失敗事例のトラウマ(苦い思い出)があるのではないか。
などなど
そうしたことへの配慮ができるようになることが、ここでいう、組織に仕事をなじませるためのスキルにつながります。 上司との関係にも幅がでてきます。 そのスキルは、あなたが部下を持ったときにきっと役立ちますよ。