態度変更 6-2
達成感6-5
楽しみ 6-9
に
忍耐 6-11
忍耐「気持ちを元気に
「忍耐は見返りがある」
●忍耐嫌い
いつの時代でも、若者を特徴づける、というより、けなす言葉には事欠きませんが、忍耐嫌いは、今時の若者の特徴の一つかもしれません。生まれたときから暖衣飽食の中で育てば、当たり前の特徴として身についてしまいます。
しかし、それがいいことだとは当の若者でさえ、思ってはいないはずです。耐えることなしに得られるものはたかが知れているからです。
とはいっても、3年で3割が会社を辞めてしまうと言われているような日本の若者の現実はかなり深刻かもしれません。
●逆境に強い
ポジティブ心理学のキーワードの一つに、レジリエンス(回復力、復元力)というのがあります。
逆境の中でも心の健康を維持できる資質です。こうした資質を備えた子どもを「傷つかない子ども」と呼び、そうした子どもが一定割合いることが注目されています。
資質ですので、自分でどうこうして身につけられる類のものではなさそうですが、今後、研究がすすむと、子育て段階で何か使えるようなものが出てくるかもしれません。
ここで取り上げる忍耐も、これに関係しています。
●2つの忍耐
忍耐には、目標を達成するまで忍耐強くがんばるというような前向きの忍耐と、レジリエンスで取り上げられる、今襲いかかってきている困難に耐えるというような後向きの忍耐とがあります。
いずれも、しんどいけどがんばることになりますが、前向き忍耐と後向き忍耐とは微妙に異なります。
いずれも心の元気にとって大事です。そこで、両者を分けて、以下、考えてみたいと思います。
なお、忍耐には、さらに、肉体的な忍耐もあります。ここでは、心のほうの忍耐をもっぱら考えますが、心身一如です。からだを通して心の忍耐をつけるということもあることは、知っておいてよいと思います。
● 前向きの忍耐をつけるコツ
① 目標志向の生き方をする
目標があれば、それを達成したいという欲求も高まります。それがあれば、つらいことも耐えられます。
長期の高い目標で持続的に頑張れれば、いうことなしですが、なかなかそれは難しいところがありますので、中短期のやや達成度の低い、そして具体的な目標を意識しながら頑張るのが現実的です。そうすれば、進歩感を実感しながら、毎日、がんばれるからです。
社長になるぞー、だから今日一日がんばる、もありです。それは、真正の元気につながります。でも、凡人は、そのことをちょっぴり意識することはあっても、日々の達成目標とするには無理があります。せいぜい、1週間単位くらいのがんばり目標を意識してがんばるくらいが、いいところではないでしょうか。
それが継続されれば、自然に忍耐力もついてくるはずです。
② 1割増しの努力感を
忍耐力をつけるには、普通のレベルの努力の継続だけではだめです。
「がんばる」という表現の中には、いつもよりも少し大目の努力をする、の意味があります。自分の能力を110%出す感じですね。
ただ、ここが難しいところですが、これを連日継続し続けると資源切れになります。調整が必要になります。そこで、一つのおすすめは、休息をスケジュール化しておくことです。
● 後ろ向きの忍耐をつけるコツ
① 逆境から学ぶ
レジリエンスの話のところで、資質と言いました。だとすると、これを身につけるのは難しいところがあります。
でも、逆境体験からたくさんのことが学べます。それがレジリエンスに即つながるかどうかはわかりませんが、逆境から抜け出る心のスキルは学べることは間違いありません。
ですから、逆境に陥った(と思ったら)、それに果敢に立ち向かうことも大事ですが、一歩引いて、さて、ここから何が学べるかを自問自答してみることをおすすめします。
なにしろ、忍耐の「忍」は、心の上に刃がある状態です。厳しい学びができる、というより、学ばなければ生きていけない場なのです。
②逆境のときこそ人間を知るチャンス
では、逆境から何が学べるかを自分の個人的な体験から2つ挙げておきます。
一つは、人間への洞察が深まります。
その多くは、人間の暗部への洞察になりますが、その中でも涙がでるほどうれしいところをみせられたり、拝みたいくらいありがたい人に出会うことがあります。それが、人間を見る目の幅を広げてくれます。「悪い人ばかりではない」という楽観にもつながります。
余談です。
自分が大学で心理学を勉強してみたい、と思わせたのも、もしかすると、青年期初期の家庭的な逆境のなかで潜在的に学んだこうしたものが後押ししているかも、ということに今、気がつきました。これ、本当です。この原稿を書くことが、深い回想を引き出したようです。回想療法をはからずも体験してしまいました。笑い
③危機に鈍感になる
逆境は、心に強烈なダメージを与えます。それにめげてしまうリスクがありますが、次々に押し寄せているダメージは、めげている暇がないような感じになります。というより、「またかー、しょうがないなー」という感じですね。いや、もうちょっと積極的な言い方をするなら、「とりあえず、受け流す感じ」ですね。
逆境に自然に心が順応してしまう、というより順応させてしまうスキル?を体得します。あまり生産的な学びではありませんが、貴重です。
レジリエンスを構成するものの一つとして、感情の統制ができる、というがありますが、それほど積極的なことができる余裕はない、というのが自分の逆境体験を回想しての実感です。
大丈夫
心配するな
なんとかなる
(沢庵和尚)の心境です。