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自己実現「なりたい自分になることが人生の究極の目標」
●自己実現欲求ってどんなもの
アズローの欲求の5段階モデルはよく知られています。
生理的欲求―>安全の欲求→所属・承認欲求―>自尊欲求ー>自己実現欲求
の順に欲求が満たされていくとするものです。
その最高位にある自己実現欲求。一体どんなものでしょうか。
難しい話はさておくとして、要するに(やや乱暴か!)、なりたい自分になりたいという極めて当たり前の欲求です。
幼稚園児でも、「将来何になりたいですか?」と聞くと、幼稚園の先生になりたいとか、野球選手になりたいとこいうくらい当たり前です。
幼稚園児でも、といいましたが、実は、幼稚園児だから、というところも実はあります。
日本の青年、最近、つとに元気がありません。この自己実現欲求があまりにも弱いのです。何になりたいのか、将来どうしたいのか、皆目、わからないようなのです。
日本青少年研究所の国際比較の調査によると、次のような青少年像が浮かび上がってきます。
日本:「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」
米国:「一生に何回かはデカイことに挑戦してみたい」(「何回か」がすごいですね)
中国:「やりたいことにいくら困難があっても挑戦してみたい」
韓国:「大きい組織の中で自分の力を発揮したい」
これではいけないということで、大学でも、キャリア教育と称して、なりたい自分をイメージさせるような試みが盛んになってきています。
●心を元気にする自己実現欲求を強めるコツ
①仕事は仕事と割り切る
「仕事で自己実現を」という言説をよく耳にします。多くは、経営者やその仕事で成功した人の口から出てきます。キャリア教育も、その方向をめざすことを学生にすすめます。
それはそれで結構なのですが、そして、そんな仕事につけたら、本当に幸せで元気な毎日がおくれること間違いなしです。
しかし、世の中の仕事すべてがそんなに都合よく存在しているわけではません。生活のためにがんばらなくてはならない仕事もごまんとあります。誰かがそれをしなければ、世の中がまわりません。そんな仕事に就かざるをえない人にとっては、支えは仕事で自己実現ではなく、仕事に対する使命感です。
自己実現は、仕事とは別の領域と時間でめざすことになります。
やや驚くべき事実ですが、働いている人のほぼ半数が、派遣社員なのだそうですが、そんな働き方をあえて選択している人々もかなりの数にのぼっているようです。名古屋市の調査でも、「自己実現のため」派遣社員を選択したとした人の割合が30.8%にもなっています。
豊かで成熟した社会、日本ならではかもしれませんね。
でも、こんなことをいう人もいます。私の気持ちに近い言説です。
「やりたいことや憧れの仕事に振り回されて、
現状を不満に感じたり
暗い気持ちで毎日を過ごすよりは、
やるべきことを一生懸命やるほうが、
はるかに充実感が得られるのではないでしょうか。」(小池龍之介)
②ないたい自分になるための歩みはゆっくり着実に
自己実現は、長い時間スパンで考えることになります。極端な話、定年退職してはじめて自己実現をめざしてまっしぐらということもあります。
それも、そのなりたい自分をイメージしたのは、小学校の頃、なんてことさえあります。
自己実現の歩みは、一生かけて取組むべき人生のイベントです。
あせることはありません。ゆっくり着実にそれに向かっていけばよいのです。へたをすると、あなたの一生が、まだ見ぬ自己実現への歩みになるかもしれませんが、それでも、その方向を意識した生き方は充実したもので気持ち元気になれるはずです。
若いときの夢を定年後に実現しているような同僚や高齢者仲間をたくさん知っています。
③自己実現欲求の強さも内容は変わってもよい
自己実現も欲求です。強弱があります。その内容も様々です。きまぐれなところがあります。
強く、これこそ自分のなりたいもの、というものがあればそれに越したことはないのですが、あまりそれに固執してしまうと、人生のリスクが高くなります。なれないときに、社会的な弱者になってしまうリスクが高くなります。先ほどの派遣社員の一部に、そんな人々が混じっているようです。
実現すべき目標も長い時間スパンの間で変わって当然です。そして、あるときは、とりつかれたかのようにその欲求のままに最大の努力、またあるときは、そんなものを忘れたかのように生活に、仕事に追われるようなことがあってもよいのです。さらに、若いときのなりたい自分と、たとえば、家族をもつことでなりたい自分が劇的に変わるなんてことも大ありです。
自己実現欲求、あまり硬く考えずに、柔軟に、しかし、したたかに従っていきたいものです。
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