ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド主演 ジョン・ランディス監督
友人がDVDを購入し、その最初の一枚にこれを選択したらしい。同世代として、その気持ちはよくわかる。観るたびに、アドレナリンがドクドク噴出するのが感じられる名画だから。exits only in the classical records department of your public library……いまや公立図書館にしか存在しない(ダン・エイクロイドの早口が炸裂するこのフレーズは、アルバムBest of The Blues Brothersで何度も聴いた)ブルースを、一気に表舞台に復帰させた作品。物語は、結構泣かせる。
1.久しぶりに故郷に帰ってきた兄が、弟とともに生まれ育った孤児院を訪ねる。
2.“税金の滞納”のために孤児院が閉鎖の危機にあることを聞いた兄弟は、その窮状を救おうとする。しかし何をすれば……と迷いながら教会に行き、神の啓示を受ける。
3.音楽活動で“浄財”を集めることにした彼らは、かつての仲間に会いに、故郷を訪ね歩く。
4.“快く”活動を再開した彼らは、幾多の危難を乗り越え、コンサートを成功させ、孤児院を救うことに成功する。
5.兄弟は心を残しながら故郷を去る。
でもその内実は
1.兄がそれまでいたのは刑務所であり
2.啓示を受ける教会の神父は“ワイヤードマイクの帝王”(勝手に名づけました。あまりにコードのあしらいがうまいので)ジェームス・ブラウンであり→このシーンは傑作!
3.故郷シカゴを徘徊する兄弟は、そのことごとくを徹底して破壊しつくし
4.幾多の危難とは、ほとんど兄弟自らが招いたもの(結婚式をキャンセルした女、ちょっかいを出したネオ・ナチ、もちろん警察も)であり
5.今度は兄弟そろって刑務所で監獄ロックを歌うことになった
……のである。
しかしこれだけ上質な音楽と“何もそこまで”と言いたくなる破壊てんこもりな映画を叩きつけられると、娯楽映画はもう、アメリカにはどうしてもかなわない、とため息が出る。単純な見方のようだが、アメリカ文化の強さが、人種のるつぼであるが故にインターナショナルなものにならざるを得なかったことにあるのだとしても、この“混ざり具合”は尋常ではない。躍動する教会の乱舞シーン、ブラックなギャグ連発のレイ・チャールズ、弟の住むシカゴ高架下アパートの渋い佇まい……やはり文化は混ざれば混ざるほどおいしいのだと思う。
にしてもカークラッシュはちょっとやりすぎ。単なる消費。ここまで観客は望んじゃいないだろうに、それでもやってしまうあたりがランディスの危なさ。この余計な根性のせいで後に「トワイライト・ゾーン」撮影中にヴィック・モローを事故死させる結果になった、と考えてはかわいそうすぎるか。でも人柄はずいぶんと善い人みたいで、彼の映画には仲間の映画監督たちがよく特別出演したりしている。この映画にもスピルバーグがちょこっと(この旦那はバニラ・スカイにも……結構出たがり?)。
今回の特典映像で笑えたのは、誰よりもいいシーン(ボウル・ルームでの独唱)が与えられたキャブ・キャロウェイが、実はあまり乗り気じゃなかったとか、ひたすら田中真紀子に似ているアレサ・フランクリンが、“二度同じようには歌えない”(笑)ため、アテレコに苦労した、とか。いい味出してるなあみんな。
亡くなったジョン・ベルーシには、日本人を徹底的にコケにしたサムライ、だかミフネ、という芸があったはず。どなたかビデオのありかを知りませんか?それに、誰が行くもんかと馬鹿にしていたユニバーサル・スタジオ・ジャパンのBBB(ブルース・ブラザース・バンド)ショーも、あーだんだん見たくなってきた!