マーティン(ビバリーヒルズ・コップ)ブレスト監督 ロバート・デ・ニーロ主演
初めてこれを観たとき、わたしがどう評価していたかというと……
1990年1月1日(月)「ミッドナイト・ラン」
~実はこっちが泣かせる映画だったのだ。「ギャングの経理係をしながら、その金を福祉関係に勝手にばらまいた男」と、「賄賂を受けとらなかったために、警察をオン出されて賞金稼ぎをやっている男」の二人旅という、冷静になればとんでもない大嘘の設定を、不意打ちのアクションと上質のユーモアでうまくだましてくれている。チャールズ・グローディンがひたすらおかしい。 ☆☆☆★★★
再見して納得。全くそのとおり。娯楽映画としてまことに上等。当時のデ・ニーロの「自分の作品のなかで一番好き」というコメントも、まったくのリップサービスでもなさそう。
それにしてもハリウッドはロード・ムービーが好きだ。飛行機(Plane)、列車(Train)、自動車(Automobile)という、あらゆる手段を使って大陸を横断する(必ず、横断なのね。縦断もかなりの距離なのに)ケースに代表されるこのジャンルには、スティーブ・マーティンの「大災難PTA」(Planes,Trains,Automobiles)という大傑作があるので、ビデオ屋にあったらぜひ。酒田のTSUTAYAには残念ながらもうありませんでした。
つくづく感じたのは、わずか十数年前の映画の「ミッドナイト・ラン」において、賞金稼ぎ(バウンティ・ハンター)役のロバート・デ・ニーロがひたすら煙草を吸い続けることへの、「お?いいのか?」との違和感。経理係役で健康フェチのグローディンにさんざん突っ込まれるのだが、喫煙者である私ですら感じるぐらい、アメリカの90年代においてはスクリーン上からどんどん紫煙(死語)が消えていったわけだ。ったくいーじゃねーかなー、アウトローぐらい盛大に吸ったって。このあたり、女優も含めて吸い放題のヨーロッパ映画の方に大人の深みは感じる。ま、職員室の分煙がどうのという理屈は今回は勘弁してほしいってことで。
もうひとつ。こっちが歳をとったせいで沁みるのだろうが、“別れた妻のところへ(おまけにその妻は賄賂を受けとって出世した男と再婚している)金を借りに行き、9年ぶりに会った中学生の娘に『ベビーシッターをして貯めたお金』を差し出され、「いや、それは受け取れない」と泣く泣く断るオヤジ”を、デ・ニーロは完璧に演じている。体重を自在にコントロールできる(笑)だけじゃなく、この人、やっぱり名優だよなー。
※デ・ニーロの魅力は、少なくとも日本人にとっては渋さだろう。だから昔バナナラマ(だっけ?)が「愛しのロバート・デ・ニーロ」とかいう曲歌ってたけど、その頃から違和感あった。外人にはセクシーなアイドルに見えるんだろうか。この人、常に名演技、ってところが好き嫌いの分かれる理由かな。