港座復活祭向けのネタはつづきます。
「第三の男」篇はこちら。
「ローマの休日」 Roman Holiday (1953 米)
監督:ウィリアム・ワイラー 出演:オードリー・ヘップバーン グレゴリー・ペック
この1作でオードリー・ヘップバーンは世界の、とりわけ日本のスターにおどり出ました。観光案内としても「天使と悪魔」よりはるかにローマを活写しています。
恋愛映画の教科書のような作品として語られていますが、実は作中には「アイ・ラブ・ユー」的なセリフが存在せず、すべてをラストの“あの言葉”で表現するというアクロバットを成功させています。
オードリー・ヘップバーンについては、彼女を「麗しのサブリナ」で起用したビリー・ワイルダー監督のことばがすべて。
「ひとを魅了せずにおかない人間でも、カメラにおさめると魅力がどこかにけし飛んでしまう。ヘップバーンにはカメラも奪えぬ何かがあった。そしてそれはふたつとないものだ。彼女は彼女の時代に永遠に存在する。スクリーンの彼女は実際の彼女とはまた全然別物だった。気品が欠落するのじゃない。気品はそのまま。そこに何か新しいもの、何か貴族的なものが加わる。最高にすばらしい。」
※この作品のオードリー・ヘップバーンは本当にすばらしい。そんなもんは誰でもが知っていることだと思う。でも、わかっていてもなお、観るたびにため息をつく。すごい。
ブレイクしたのが奇跡の作品なわけだから、彼女はかなり悩んだのではないかと思う。次はどんな作品に、とか。でもあまりにも魅力的だったものだから、「オードリー・ヘップバーンはオードリー・ヘップバーンを演じていれば観客は納得する」レベル。ひょっとしたらかえってそれで不満だったかも。聡明な人だったようだし。
日本において特に彼女が人気があるのは、吹替を池田昌子さんがやったことが確実に影響している。上映会では、もちろん吹替ではありません(笑)。
次回は「十二人の怒れる男」です。ちょっとマジでいきます。
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