事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

港座通信~ローマの休日

2009-06-03 | 港座

Audreyhepburninromanholidayposters 港座復活祭向けのネタはつづきます。
「第三の男」篇はこちら

「ローマの休日」 Roman Holiday  (1953 米)

監督:ウィリアム・ワイラー 出演:オードリー・ヘップバーン グレゴリー・ペック

この1作でオードリー・ヘップバーンは世界の、とりわけ日本のスターにおどり出ました。観光案内としても「天使と悪魔」よりはるかにローマを活写しています。

恋愛映画の教科書のような作品として語られていますが、実は作中には「アイ・ラブ・ユー」的なセリフが存在せず、すべてをラストの“あの言葉”で表現するというアクロバットを成功させています。

オードリー・ヘップバーンについては、彼女を「麗しのサブリナ」で起用したビリー・ワイルダー監督のことばがすべて。

「ひとを魅了せずにおかない人間でも、カメラにおさめると魅力がどこかにけし飛んでしまう。ヘップバーンにはカメラも奪えぬ何かがあった。そしてそれはふたつとないものだ。彼女は彼女の時代に永遠に存在する。スクリーンの彼女は実際の彼女とはまた全然別物だった。気品が欠落するのじゃない。気品はそのまま。そこに何か新しいもの、何か貴族的なものが加わる。最高にすばらしい。」

※この作品のオードリー・ヘップバーンは本当にすばらしい。そんなもんは誰でもが知っていることだと思う。でも、わかっていてもなお、観るたびにため息をつく。すごい。

ブレイクしたのが奇跡の作品なわけだから、彼女はかなり悩んだのではないかと思う。次はどんな作品に、とか。でもあまりにも魅力的だったものだから、「オードリー・ヘップバーンはオードリー・ヘップバーンを演じていれば観客は納得する」レベル。ひょっとしたらかえってそれで不満だったかも。聡明な人だったようだし。

日本において特に彼女が人気があるのは、吹替を池田昌子さんがやったことが確実に影響している。上映会では、もちろん吹替ではありません(笑)。

次回は「十二人の怒れる男」です。ちょっとマジでいきます。

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港座通信~第三の男

2009-06-03 | 港座

The_third_man この作品をいただいた「赤いハンカチ」特集はこちら

「第三の男」The Third Man(1949 英)

脚本:グレアム・グリーン 監督:キャロル・リード 音楽:アントン・カラス 出演:ジョゼフ・コットン アリダ・ヴァリ オースン・ウェルズ

その、「赤いハンカチ」の元ネタとなったグリーンの脚本は上質のミステリでもありますが、それ以上にチターの音色が奏でるテーマ曲や、あのラストシーンだけで歴史に残る名作。魅力的な悪役を演じたオースン・ウェルズの名セリフ「スイスの500年の平和はいったい何をもたらした? 鳩時計だけだ。」も有名。

こんなエピソードもあります。

「そいつは子どもの頃に満州から引き上げてきて、中学を卒業すると、田舎で映画館の看板絵を描く仕事に入った。最初に任せられた仕事が、オースン・ウェルズが出た『第三の男』だった。16歳の少年は、与えられたモノクロの小さなスチール写真だけを資料として、いきなり巨大な看板に観覧車の絵を描かなければならなかった。彼はウィーンどころか、ヨーロッパがどんなところかも皆目見当がつかないままに、一生懸命に努力し、なんとかそれを完成させた。心のなかではいつかウィーンに行って、本物の観覧車に乗ってやるぞと誓いながら。やがて東京に出た彼は、赤塚不二夫という名前の有名な漫画家になった。」

~四方田犬彦「心は転がる石のように」~

次回は「ローマの休日」篇。

※「第三の男」はマジで大傑作だと思う。悪い男だと知りながら、それでもその男を否定する人間を拒絶するラストはみごとだ。これって“世間”あるいは“女”ってものじゃないですか?まあ、その悪い男が今回はあまりに魅力的だからなあ。

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