都議選の結果にはいろいろと考えるところがある。
中選挙区的な選挙だからこんなものですんだが、このまま総選挙になだれ込めば、民主党の圧勝となることは自明だ。わたしは能天気にそれを喜ぶ気持ちには(今回は)なれなかった。冷静になれ。民主党に投票したんじゃなくて、主人公はまだまだ自民党で、彼らを“こらしめてやった”と思っている人が多数なのだと思う。
それはともかく、55%の投票率でこの結果。大都市で70%越えはないだろうけれど、もし実現していたらどんなことになっていただろう。
いや、選挙に行かない人がなんでこんなに多いんだと嘆いているわけではない(呆れてはいる)。“総力をあげた”と自他共に認める某党のことがどうにも不思議なのだ。
総力をあげることであの議席を確保することができるということがまず不思議。
そして、“都議選から少なくとも一ヶ月半”は間隔をあけてほしいという物理的な要求があることも不思議。
ほんとに、よくわからない。
別にZ票がどうしたのといった政治くさい話をしたいわけでもない。わたしは投票日の日曜日に見かけた、ある団体の姿に感じ入ったのだ。
彼らは、まさしく“白亜の殿堂”としか形容のできない教会?を出て、近所をデモ行進していた。すべての選挙区に候補者をたてるという教祖の方針に諾々としたがっている……にしてはみんな明るい。
そして、みんな驚くほど“普通”なのだった。
わたしはこの団体の掲げる国家主義的主張は受けつけない。しかし教祖の普通さと通底する信者たちの明るさを見て、少し緊張したのは確かだ。
選挙に行かない人たちの多くは、政治ずぶずぶの人間たちを軽蔑しているのだろう。
「自分の一票なんて何の影響もない」
「誰がやっても政治は同じ」
「政治は年寄りのもの」
「自分は汚れていない」
……みんな、当たってます。そのとおりですとも。
でも、そのうちに「普通の笑顔の持ち主」や、全力をつくせば議会の1/5を占めるような団体がわたしたちのすべてを決定することになるのではないかという危惧だけは、もっていてほしい。
そうなってから「社会が悪い」「政治が悪い」「カルトが悪い」とか言うなよ。絶対に言うな。“彼ら”には、悪意のかけらもない。責任は、自分がとらなければならないはず。