「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」特集はこちら。
監督:アンドリュー・スタントン 日本語版吹替:木梨憲武 室井滋
流麗なCGばかりが注目されるピクサーのアニメーション。この作品でも、当時はタブー視されていた“水”をみごとに表現しています。
しかしもっとも時間をかけているのはストーリーを練りあげる段階だと言われています。「トイ・ストーリー」にしても「モンスターズ・インク」「Mr.インクレディブル」にしても、観客によろこんでもらえるストーリー展開を求めてスタッフは七転八倒。「ニモ」においても“母親の不在”を不自然に感じさせない工夫が満載。『記憶が長持ちしない』ドリーを吹き替えた室井滋がひたすら笑わせてくれます。
※ニモはオトナこそが喜べる映画なのではないだろうか。例の鮫の集会のシーンは、マット・スカダーでおなじみのアルコール依存症患者のAAと呼ばれる相互治療のパロディなのだ。そんなもん子どもにわかるわけないよなー。
※それに、記憶が長続きしないドリーの扱いもよく考えたらすごい。映画ファンは「メメント」や「博士の愛した数式」でおなじみの症状だけど、あれを子ども向けアニメのストーリーに組み込もうとする志は高い。ピクサーおそるべし。
※いちばん驚いたのは、ピクサーの作品のほとんどは、若きクリエイターたちが会社をはじめるときのランチ・ミーティングで既に語られていたネタだったことだ。「トイ・ストーリー」はもちろん、「Mr.インクレディブル」も「カーズ」も「ウォーリー」(は定かじゃないけど)も、既定の路線だったわけ。つまり、こんな映画がつくりたいから会社をはじめる、というまっとうな姿勢が理解できる。彼らが、遺産を食いつぶすしかなかったディズニーを(結果的に)支配下においたのは必然だったのだろう。
次回は「おくりびと」予告!
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