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「怪奇大作戦」「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」……タケダアワーどまんなかの、現在でも語り継がれる名作を幼いころに文字どおり浴びたことで、CMプランナーでもある血肉は形成されている、と樋口は正直に語っている(彼のCMで有名なのが「第一でナイト!」。いまは電通の部長です)。
ただし、わたしもほぼ同世代だけど、山形の民放はガキのころは日テレ系の山形放送しかなくて、タケダアワーを日曜7時に観てないんだよなあ(泣)。もっとも、夕方の5時ぐらいにオンエアされていたので、タイムラグはあれども親の眼を気にすることなく見ることはできたのだけれど。ウルトラセブンの、あの伝説の最終回も、近所のガキどもといっしょに見てました。
樋口の連載を誰よりも喜んだのは、それまでどんなに心をこめて脚本を書き、演出しても視聴率という尺度でしか評価されなかった作家たちだ。
井上由美子(「白い巨塔」「照柿」!)
渡辺あや(「カーネーション」「火の魚」)
鶴橋康夫(「新車の中の女」「刑事たちの夏」)
など、テレビ村における村人同士では高く評価されるものの、それが世間の評価に(なにしろまだ映画よりも一段下だと思われている業界だ)つながっていない彼らにとって、樋口の連載がどれだけ救いだったか。
テレビ・トラベラー(いまさらですけど「時をかける少女」が原作だった「タイム・トラベラー」のもじりですよ)の連載が終わったいま、さあ番組表を見てみよう。お手軽なバラエティばかりだと眉をひそめる向きもあろうが、しかし評価すべきドラマは常にある。「あまちゃん」や「半沢直樹」「Woman」だけでは決してないはず。いやむしろお手軽なバラエティこそ、きちんとした言葉で語られなければならないのではないか。
そうでもしないと、コンテンツ産業は不滅だと油断しているすきに、テレビジョンというメディアの地位は下降の一途を……。
テレビ・トラベラー: 昭和・平成テレビドラマ批評大全 価格:¥ 2,730(税込) 発売日:2012-05-29 |