「京都大火編」と合わせて100億円(はちょっと無理だと思うけど)を稼ごうかという大ヒット。封切りの間隔が一ヶ月半ほど。シネコンの時代だから両作品とも上映しているのでハシゴしても見ることもできる。
製作作品がことごとくこけていた(でもローカルプロダクションにこだわる)ワーナーは、ついに鉱脈を見つけたみたい。アジアでも本気でヒットを続けているようだ。完結?まさかまさか。
はたしてこのヒットの原因はどこにあったのだろう。はるか昔に少年ジャンプに連載され、これまたはるか昔にアニメ化された(ソニー系アーティストのPVっぽかったですよね)作品を、いま映画化するという企画がどう通ったものだか。
しかも監督はNHKを辞めたばかりの大友啓史、主演はまだまだ実績の足りない佐藤健……よくぞ金を出そうという気になったものだ。で、大儲けなのだから興行の世界はわからない。
でも、主役の佐藤健の魅力がなにより売りだったのは確かだろう。彼は暗殺者だった過去を捨てて人を斬らないと決心しているので、一撃で相手を倒すことができない。だからやたらに自分が傷ついてしまう。せっかくの美形がきちんと拝めるシーンはほとんどありません(笑)。
その分、女性ファンのたまりにたまった不満を解消するショットがラストに用意されていて、これだけでご飯三杯はみなさんいただけるのではないでしょうか。中年男であるわたしもクラクラするほどでしたもの(そっち系じゃないですよわたし)。
さて、アクションが今回もまたすばらしい。特に狭い場所での打突描写は、日本映画のアクション演出を確実に進化させた。多人数がからむ殺陣も、ち密に計算されていることが理解できる。
っていうかね、この映画の現場って地獄のようだったんじゃないすか。いきなり香港のアクションスター並みの動きを要求され……え?でもみんなちゃんとやってたよね。佐藤健、伊勢谷友介、神木隆之介、福山雅治、そして藤原竜也も。日本の俳優って、実はポテンシャル高かったのか。
原作と違いすぎるとか結局は権力の走狗じゃないかとか、そんなのは些末なことだ。この映画は2014年に存在すべき映画だった。2014年に、見るべき映画だった。満足。撮影された庄内映画村も剣心人気で大賑わいのようでけっこうけっこう。
最終章篇につづく。