大西洋上空を飛ぶ飛行機のなかで行われる連続殺人。つまりは究極の密室殺人。わははは。こういうバカな話を大マジで映画化してくれるとは、ハリウッドも(というか資金はヨーロッパからもたいそう注入されている)ふところが深い。日本映画界も石持浅海の「月の扉」を映画化してくれないかしら。
うちの生徒指導主事が「面白かったっすよー!」と絶賛していたので最終日の最終回にとびこむ。あら、イオンシネマは割引制度が変わったので1700円も(3Dじゃないのに)とられた。うーん。
なんでこんなことをウダウダ書いているかといえば、何しろまっとうなフーダニット(誰が犯人か)ストーリーなので書けないことが多すぎて(笑)。
あやしげな人物はごろごろ出てくる。
・主人公の航空保安官(こんな商売もあるんだなー)は過去の苦い出来事からアル中になっていて、飛行機のなかに唯一合法的に拳銃を持ち込むことができる。演ずるはリーアム・ニーソン。身長が193㎝もあるのでこの人が右往左往すると飛行機が揺れそう。
・窓側の席にこだわる女性(ジュリアン・ムーア!)の胸には傷があり、なぜか保安官の捜査に積極的に協力する。
・客室乗務員のチーフは、保安官の過去を知っていて同情的だが、(殺人現場のひとつとなる)操縦席にただひとり出入りできる存在。
・欠員が出たために急きょ乗りこむことになった客室乗務員は、なにしろ演じているのが「それでも夜は明ける」でオスカーをとったルピタ・ミョンゴなので油断できない!(笑)
……いちゃもんはいくらでもつけられる。機長を殺した方法はいくらなんでもありえないんじゃないかとか、テロリストではないかと疑われる主人公が、あんなに簡単に乗客の信頼をとりもどすことができるのか、とか。
でも、徹底的にダイ・ハードを意識した(に決まってる)脚本は、飛行機のなかのルールや備品にこだわり、飛行機を知り抜いている人物にしか事件が解決できないことを納得させてくれる。身代金をどう受け取るかなど、金融に詳しくないとさっぱり。携帯電話の使い方はどんどん進化している。
ネタバレになっちゃうけれど、ジュリアン・ムーアがなぜ窓側にこだわるかのエピソードはよかった。文字通り、胸の内に傷をかかえているのだ。おとなの女性ってことよね。DVDが出たらぜひ。