事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

極私的朝ドラ史PART31 花子とアン

2016-02-22 | テレビ番組

PART30「ごちそうさん」はこちら

2014年前期は「花子とアン」。視聴率的にも内容的にも朝ドラ絶好調である。脚本は「やまとなでしこ」「ハケンの品格」の中園ミホ。ドラマづくりがよくわかっている人の作品であることが随所にあらわれていた。

主人公のモデルは「赤毛のアン」を訳した村岡花子。怒涛の人生を歩んだ人ではあるけれど、ドラマ的には地味。そこで、アン自身のストーリーと二重写しになるようにつくってある。グリーンゲイブルズは山梨県だったと(笑)

くわえて、村岡と親交があった柳原白蓮の、これぞ波乱万丈な人生もからめることで、次はいったいどうなるのかと視聴者の胸ぐらをつかんでひきまわすような展開となった。

成功した朝ドラに共通するのは、主人公以外の脇役の人気が爆発することだ。「おはなはん」における高橋幸治、「繭子ひとり」の草笛光子、「雲のじゅうたん」の中条静夫、「ひらり」の渡辺いっけい、「ちゅらさん」のおばぁ、平良とみ(合掌)とか。

「花子とアン」でも、まったく意外な人物が人気を集めることになった。白蓮が絶縁状を公開するモデルとなった炭鉱王、伊藤伝右衛門を演じた吉田剛太郎だ。粗野だけれども妻を愛している姿に

「伝助(役名)さんがかわいそう」

と、それまでは舞台中心の俳優だった吉田をお茶の間でブレイクさせる結果となった。わからんもんだなあ。まあ、下手な役者では(あるいはすでに顔の売れた役者では)あの味はでなかったかもしれないので、キャスティングの勝利か。伝助さんは「真田丸」の織田信長役も圧倒的でした。

主演は吉高由里子。映画「横道世之介」のお嬢様演技を見たスタッフの意見が通ったらしい。まあ、「蛇にピアス」の方ではないと思いました。

白蓮は仲間由紀恵。圧倒的な美女でないと成立しない役なのでぴったり。わたしの妻は、花子の夫となった鈴木亮平を「この人は伸びるわ」と絶賛していたけれど、どうかなあとこちらは懐疑的だった。でも現在の活躍を見れば妻の方に見る目はあった様子。

現実の村岡花子は不倫のすったもんだの末に結婚したようだし、戦争に対してもドラマのような姿勢ではなかったようだ。でも、野暮は言うまい。そのあたりのアレンジは当然あってしかるべきでしょう。これが大河ドラマだったりすると、全国から「史実と違う!」と大合唱だったりするのでしょうが。

Vol.32「あさが来た」につづく

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