第三十三回「比叡山に棲む魔物」はこちら。
大河ドラマにおいて、最も人気があるのは戦国時代のお話だ。それはなぜかを、2年後の大河「鎌倉殿の13人」を書いている三谷幸喜がうまく表現している。
「キャスティングっていうのは僕も本当に大好きで、作品の90%はキャストで決まると思っております。みんながよく知っている俳優さんがみんながよく知っている役を演じるっていうのもあるし、みんながよく知っている俳優さんが全然知らない役をやる、その楽しみもありますし、みんなが全然知らない俳優さんがすごい有名な役をやるワクワク感もあるし、全然知らない人が全然知らない役をやる…これはまあ…それも楽しみです。本当に豪華な、大河ドラマならではのキャスティングになっておりますので、来週1週間どうぞ楽しみにしていてください。よろしくお願いいたします」
キャストを小出しにするという、それどうなのという企画に乗った彼はうれしそうだ。
結果としてアナウンスされたのは小栗旬、大泉洋、小池栄子、菅田将暉、片岡愛之助、宮沢りえなど。山本耕史、宮澤エマ、迫田孝也、新納慎也、小林隆などの三谷組もうれしいし、佐藤二朗がどうはじけてくれるのか……いやそういう話ではありませんでした。
つまりはこの「麒麟がくる」のお話はみんなが知っている。なにしろ主役が三日天下に終わることまで全員が承知しているんだから。
そこに、おなじみの役にどの役者を当てはめるかの勝負。今回は武田信玄に石橋凌が登場。キーとなる役にミュージシャン(ユースケ・サンタマリア、堺正章、陣内孝則)を起用するのは確信犯ですよね。違った色彩をキャスティングで、というわけだ。
だけどなかには知らない役が大きくフューチャーされることががまんできない人たちもいる。ネットで東庵と駒がバッシングされているのはそれでしょ。いくらなんでもここまで無名の人が歴史にかかわってはこないだろうと。
でもねえ、無名の無数の人物の代表だとなぜ考えてくれないのかなあ。誰よりも有名な人物、織田信長の子どもっぽさが強調されているのとバランスがとれているのに。
第三十五回「義昭、まよいの中で」につづく。