第23話「瀬名、覚醒」はこちら。
オープニングのタイトル「どうする家康」のロゴに、ちょろちょろっと小さな影がかぶる。ねずみである。このドラマでねずみと言えば……
先週覚醒した瀬名(有村架純)は、ある覚悟を決めていて、夢の実現のために武田と組みながら動き出す。いくさのない世をつくると。
戦国時代に何を寝ぼけたことを、と思われるのも承知。お花畑と批判されることも承知で。
しかし男たちにまかせていてはいくさはなくならない。実は繊細な子である信康のために、この計画は秘密裡に進む。武田の諜報力があればこその展開。だって肝心の信康の嫁が信長の娘なのだから、もれないはずはない……
計画は経済協力を土台にしているあたりが周到。いまのEUのような形をめざしたわけだ。ECの時代から、あの組織は経済同盟である以上に不戦条約だったわけだし。だからイギリスの離脱はおとなのふるまいではなかった。
もっと小さな形の男と女の話もでてくる。服部半蔵(山田孝之)と大鼠(松本まりか)のやりとりが笑える。男の世話をやく暮らしはどうだと(つまりはおれの嫁になれと)半蔵は迫るが、大鼠は
「殺すぞ」
こっちは女の方が戦闘的です(笑)。さすが鼠。
今川や北条まで引き入れる瀬名の計画に驚く家康。しかし肝心の武田勝頼に夢は打ち砕かれる。今まで、誰よりも上から目線だった千代(古川琴音)の狼狽ぶりがいい。
次第に瀬名の、築山殿の悲劇が近づいている。
そうか築山というのは地名だったんだね。そこに屋敷を構えていたから築山殿。落語家の黒門町(桂文楽)、目白(柳家小さん)のように。
まあ、政治的な話だから目白といえばわたしは田中角栄を思い出すわけだけど。そういえば、高校の同級生は世田谷の野沢を歩いていたら、「どわ。ここ福田赳夫の家なの?」と驚いていました。野沢の人とか言われていたんだろうか。
第25回「はるかに遠い夢」につづく。