事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「スタジオジブリ物語」鈴木敏夫責任編集 集英社新書

2023-12-16 | アニメ・コミック・ゲーム

いきなりですが、ここでクイズ。次の三作品のなかで、スタジオジブリの作品ではないのはどれでしょう。

①「風の谷のナウシカ」

②「平成狸合戦ぽんぽこ」

③「天空の城ラピュタ」

……正解はナウシカ。これは宮崎駿にとって、ジブリを立ち上げる前の作品です。この「スタジオジブリ物語」は、ジブリに在籍していたライターが、鈴木敏夫の依頼によって編年体で会社の過去をつづったもの。社史ですかね。これが面白いんだ。知らないネタがたくさん仕込んであった。

たとえばそのナウシカ。この映画の製作は困難を極めた。特に資金面。

「原作のないアニメ映画はありえない」

とされたため、鈴木敏夫が在籍していた雑誌「アニメージュ」に宮崎駿がコミック連載開始。つまり原作の方があとから追いかけたのである。その単行本全部買ってますわたし。すばらしいですよあの展開は。

また、およそヒットが見込めないと予想されたため、その予想を上回るヒットとなったので宮崎駿には6千万円もの金が転がり込んだとか。その使いみちに困った宮崎は、こちらは確実にヒットが見込めないジブリの盟友である高畑勲の「柳川堀割物語」につぎこんだというオチがついている。

それにしても宮崎駿というのは業の深いクリエイターだと思う。日航機内での上映が予定されていた「紅の豚」は次第に大作となり、あのように自意識丸出しの作品に仕上がることになった。妻はどうにも肌に合わないらしいのだが、「もののけ姫」はやはり時代を象徴していたんだと思う。文句なく名作。

一方で興味深かったのは、考えてみれば当然のことなのだが、ジブリにだってボツ企画はいくつもあったのだった。わたしが観たかったのは高畑勲の「平家物語」かな。まあ、この構想が「かぐや姫の物語」に結実したのだから文句はないんですけど。

コメント (3)
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