「本の雑誌」の四十年にわたる購読者のわたしにとって(読者の投稿欄などをチェックすると、もののみごとに同世代かそれ以上であることにびっくり。高齢者用の雑誌になっているのか)、北上次郎(目黒孝二)が発行人当時の編集後記には考え込まされた。だってこの人は会社に泊まりこんでうちに帰っていないのである。どんな生活なんだ。
こんな生活だったわけですね。帰るのは週に1回、日曜の夜だけ。あとはずーっと会社にいて、会社で寝て、本を読んで原稿を書いている。一種の夢の生活ではあるけれど、おかげでいちばんかわいい時の息子たちの成長を感じ取れない後ろめたさが北上をとらえて離さない……わかるなあ。彼が家族の物語に弱いのは、こんな背景もあったわけだ。できた奥さんだなしかし(笑)
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