事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「コーダ あいのうた」Coda (2021 GAGA)

2022-05-11 | 洋画

豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聴こえる。陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意を…。(公式HPより)

最初にフランスの映画会社パテのマークが出たので、これってフランス映画だったのと驚く。実際はフランス映画「エール!」のリメイクだった関係のようだ。

劇中にデビッド・ボウイやクラッシュ、マービン・ゲイなどの名曲が使われ、そしてジョニ・ミッチェルの名曲「青春の光と影」で泣かされる。しかし決して感動を強要する感じでもない。

聾唖者の日常が(音を意識しないから)きわめてノイジーだったり、障がい者だから引っ込み思案だろうという思いこみをひっくり返されたり(「インキンタムシだからセックスはひかえてください」と医者に言われ「どのくらい?」「二週間」に夫婦そろって「無理!」と手話であわてふためくあたり、笑ったなあ)、なるほど考えてある。そしてその手話がきわめて映画的な存在であることを「ドライブ・マイ・カー」につづいて認識させられた。

ストーリーの根幹は、若者が東海岸の大学に旅立つという、「アメリカン・グラフィティ」などでおなじみのものだが、主人公が住んでいるのがすでにマンチェスターなの(笑)。彼女の才能を信じる高校の音楽教師がいい味だしてます。

ドラマ「コウノドリ」にも似た設定の回があり、聾唖者である夫婦に生まれた子が健聴者であったことで夫婦は喜ぶが、しかし医師たちはこれから彼らはたいへんだと予測する。その18年後のお話だと思っていい。

この映画で母を演じたマーリー・マトリンは娘に

「あなたが耳が聞こえると知ったとき、哀しかった……心を通わせられないと思って」

と告げる。すばらしい脚本と演出。アカデミー賞作品賞にきっちりと値する映画だ。


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4 コメント

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Unknown (ぱたた)
2022-05-12 11:05:33
イオン三川でも遅延して4/22から公開。
5/3.4休映とあり、それ以後の日に
鑑賞行こうと思い思えば何とそのまま
上映終了していました!信じられないですが
僅か12日間だけって…しかも1日1回上映。
事情があるのでしょうが扱いが良くない…。
残念ですがDVD化を待つしかないです。
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あれ? (hori)
2022-05-12 18:41:59
けっこう客は入っていたのになあ。
どうしてこの映画がPG-12なのかと
思っていたけど、そうだね、ここまでセックスを
あけすけに語られると(笑)
返信する
違います(笑) (onscreen)
2022-05-14 09:56:20
<ここまでセックスをあけすけに語られる

違います

<ここまでセックスをあけすけに手話される(笑)
返信する
あははは。 (hori)
2022-05-14 17:25:45
まったくその通りですね。
手話で「コンドームをつけろ」が
あんなに露骨になるとは……ま、露骨な行為
ですけど(笑)
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