週刊文春に連載され、単行本化されていきなりベストセラーになったノンフィクション。
中日の監督に起用された落合博満が
・キャンプ初日に紅白戦を行ったのはなぜか
・熟練の荒木と井端のポジションをコンバートしたのはなぜか
・日本シリーズで完全試合目前だった山井を降板させた理由は
・落合が監督した8年間に、中日はすべてAクラスにいて、日本シリーズに5度進出。日本一にも輝いた。それなのになぜ落合博満はこうまで嫌われたのか
・そして、監督を解任された本当の理由はなんだったのか
……次々に謎は提示され、まるでミステリのように読み解いていく過程が興味深い。それぞれに(少なくとも落合のなかでは)まっとうな理由が語られ、稀有な野球人だったと納得させられる。
落合の解任には中日新聞社内の派閥抗争が影響したとか、ノンフィクションとして確かに読ませる。勝ち続けることによってインセンティブが発生し、球団経営が苦しくなっていった経緯も説得力がある。また、名古屋の財界の意向が激しく影響したのだろうとも想像できる(立浪の就任に彼らは雀躍していることと思う)。
ただし、有望なドラフト候補やその取り巻きが希望球団として
「中日以外全部」
とコメントするような球団にしたのも落合なのだ。オレ流、のダークサイド。今度は、落合を忌避する側からのアプローチの作品も読んでみたい。
球春到来。2022年の中日は立浪新監督のもとで、今のところ勝ち越している。しかし、それは大島の好調さに依拠しているわけで、彼の年齢を考えれば、出でよ新人、とみんな願っているのではないだろうか。はたして落合がどんな下地をつくったか。心配する義理はないけどね。
酒田についても書いていてくれたので
うれしかったんだ。
それ、読みます。
「落合博満論」を読んだのですが、こ
ちらもなかなかに面白かったです!