その1はこちら。
ヒッチコックについては、フランソワ・トリュフォーとの対談をまとめた名著「映画術」を何度も読んだし、サイコについても「サイコを読み解く」としてPART8まで特集しているので、裏事情については承知しているつもり。しかしまたその裏にはいろいろとあったみたい。
この映画は「北北西に進路を取れ」が公開されたあたりからスタート。作品的にはともかく、商業的に成功している。しかし、契約していたパラマウントは、倒錯した殺人者の物語である「サイコ」の企画に難を示す。映倫は裸やトイレの描写は許されないと宣告。怒ったヒッチコックは自分の邸宅とプールを担保に自己資金で製作する決心をする。
「映画術」などでは、テレビ「ヒッチコック劇場」でえたノウハウを使って安価に撮影したことで製作費が抑えられたことになっているけれども、背景にはこんな事情があったわけだ。
妻の精神的不貞(自分はそれ以上のことをやっていたのに)に怒ったヒッチコックが、例のシャワーシーンの演出で、怒りを女性に爆発させるあたりはちょっとやりすぎでしょうか。
ジャネット・リーを演じたのはスカーレット・ヨハンソン。巨乳の女優でしかあのシャワーシーンは成立しないので、ナイスなキャスティングでした。にしても、あのショッキングなシーンをヨハンソンで再現するというのはセールス的に強かったのではないか。
ダニー・エルフマンがバーナード・ハーマンの音楽をうまくコラージュしているし、「サイコ」が大ヒットした余韻にひたるヒッチコックが
「いまは次回作のアイデアは何もない」
と語っていると、肩に鳥がとまるあたりも気が利いている。わたしは劇場公開のときに見逃したんだけど、この作品、ヒットしたんですかね。わたし、この映画好きです。
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