第33回「嫌われ政次の一生」はこちら。
前回の視聴率は12.4%と予想ほどには伸びなかった。ネットでは神回とか言われていたにもかかわらず。政次ロスは次第にボティブローのように効いてくるんだろうなあ、と思っていたら、誰よりも直虎にダメージを。ここまで“イっちゃってる”主人公は大河史上初かも。
政次を自ら刺し殺した返り血が頭巾に一滴だけ残っている。「ディア・ハンター」において、ワインを飲みきれば幸せになれるのに、少しだけ花嫁衣装にこぼしてしまったエピソードを思い出させます。これは「八重の桜」で、芦名星が夫の斎藤工の無事を祈願して鳥居に石を投げ、力が及ばなかったこととも重なる。この頭巾の血を最後まで残し、狂気を払拭したとたんにかなぐり捨てるような演出があってもよかったような。あまりにもあざといですか(笑)。
政次ロスは、三悪人、じゃなかった坊主三人(小林薫、市原隼人、小松和重)が直虎を思いやる会話でわたしにも襲ってきた。彼らは、政次とともに直虎を守ってきたわけであり、錯乱する彼女への憂いは深い。この大河ではほとんどしゃべらない市原隼人の柄の大きさがいいし、小林薫が徳川に対して少しだけ激高する場面もよかった。ここは赤いウインナーでタコさんをつくるべきじゃないですかマスター。
でも政次の死をさみしく思っているのは高橋一生自身に違いなく、
「毎週届いていた台本が、もう届かない」
という発言には、なるほどと。父親の小野政直(吹越満)が
と遺言した地点をはるかに超えて、小野但馬守政次は、そして高橋一生は大きくなっている。視聴率?今回は黄色いTシャツが裏にあるからなあ……ひょっとしたら11%切るかも。
第35回「蘇えりし者たち」につづく。
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