決してみんなが楽しめる映画だと断言するつもりはない。でも、見終わって感じたあの多幸感はなんだろう。というか、あのラストを思い出すたびにまだにんまりと笑えるのだ。その秘密はどこに?
クエンティン・タランティーノ9本目の監督作品。自慢じゃないが(自慢だけど)全部観ています。
「レザボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」などに顕著な“オフビートな会話”から突然の暴力への転調が彼の持ち味。今回はその集大成のような展開で、落ち目のテレビ俳優リックと、その専属スタントマンであるクリフの非建設的なやりとりがとにかく延々とつづく。
それなのにダレないのは、リックがレオナルド・ディカプリオでクリフがブラッド・ピットだからだ。この二人が初共演だったとは意外。まあ、誰でもタランティーノの映画には出たいはずだから実現したのだろう。
ディカプリオが子役の前で泣いてしまう場面や、ヒッピーの集団にひとり立ち向かうブラピのシーンなど、味がありまくり。
わたしはもう若くないので、ハリウッドで起きた“あの事件”のことは承知している。
気鋭(60年代末当時)の映画監督ロマン・ポランスキーの妊娠中の若妻シャロン・テートが、カルト集団であるマンソン・ファミリーによって惨殺された事件。この映画はその殺人をモデルにしているということだけは承知しておいた方がいい。そうでもないとなぜリックの隣にポランスキー夫妻が越してきた設定になっているのか意味不明だろうから。
当時のハリウッドのことを知っていればいるほど楽しめると思う。スティーブ・マックイーンやブルース・リーのそっくりさんが登場して笑わせるし、数多くのジュニア俳優のキャスティングも意図的なものだろう。
シャロン・テートをマーゴット・ロビーにやらせたのは「スーサイド・スクワッド」の美尻演技が影響したんだと勝手に断定。だって今回もカメラは彼女のお尻をひたすら追いかけてます。
タイトルが
「むかしむかし、ハリウッドで……」
というおとぎ話調であることが多幸感の秘密だ。タランティーノにとって、ハリウッドがこうであったらよかったのにという願望の結実。そうだね、わたしも、こんなハリウッドであってほしかったとつくづく思う。
音楽があいかわらず最高。バニラ・ファッジやサイモン&ガーファンクル、そして「ロイ・ビーン」の曲まで使ってますっ!
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