ディーヴァーの新作。なんと最終章からスタートし、次第にさかのぼっていくという驚異の展開。よくもまあこんなめんどくさいことを思いつくし、そして面白く読ませてしまうものだ。さすがディーヴァー。]
オープニングは、というか最終章は絶望的。娘を誘拐されたヒロインのもとへ、当の誘拐犯が訪れ、銃口を……
なんて救いのないお話なんだと思わせて、次から次へと状況をひっくり返してみせる。しかも過去にさかのぼって。
思えばディーヴァーは章立てのうまい作家だった。絶体絶命の状況を用意して、次章でうまく読者をだましていたことがわかる。小憎らしいくらいのうまさ。この「オクトーバー・リスト」は、そのテクニックを小説全体で繰り広げてみせたわけだ。
そして、普通の本であれば冒頭にあるはずのものが巻末にあり、章ごとに用意された(ディーヴァー自身が撮影した)写真の意味が明かされる。思わず笑ってしまいます。
読者の誰もが、二度も三度も楽しめるサービス満点の一冊。ぜひぜひ。
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