その30「武田信玄」はこちら。
つづいて「春日局」。脚本が橋田壽賀子ということでもちろん見ておりません。放映は1989年1月1日から。
元日放送開始という強気は裏目に出て低視聴率。おまけに1月7日に昭和天皇が崩御したのでオンエアがふっとぶという不幸なスタートとなった。ちなみに、天皇崩御の際には大河だけでなくほとんどの番組が休止され、パイプオルガンの演奏とかが延々と流れることになった。だからレンタルビデオ店に客が延々と並ぶことになったのである。あれからもう三十年もたつのか……
それはともかく、悪役とされていた人物を主役にもってくる冒険は今回もなされた。家光の乳母だった春日局(大原麗子)は、決してこのドラマで描かれたような“平和な世を希求し、三代将軍家光に慈愛をそそいだ”存在でとらえられていたわけではない。そんなはずないしね(笑)。
東映映画「柳生一族の陰謀」と比較するとわかりやすいと思う。
あちらはラストで家光(松方弘樹)の首を柳生十兵衛(千葉真一)が切断し、十兵衛の父である柳生宗矩(萬屋錦之介)が「夢じゃ、夢じゃ夢じゃ」と大芝居にもっていくという驚天動地のものなので、対象としていかがなものかと思うけれども、あの映画で家光サイドは徹底的に分が悪い。
弟の忠長は優秀で人格高潔(大原麗子が演じた出雲の阿国とエッチしてるけど)。それが春日局(深作欣二夫人の中原早苗)が悔しくてならず、宗矩とさまざまな小細工で……な展開。そっちの方がすっきりする。素行も悪く、病弱で同性愛者だった家光を推挙するのはかなり強引な話だったのではないか。
ま、見てないのでなんも言えないです。結果として高視聴率を残したのだから橋田壽賀子のことが日本人は本当に好きなんだなあ。
大河で家光を演じたのは江口洋介。局の夫に山下真司、家康が丹波哲郎で秀忠が中村雅俊。そのあたりはいいとしても、例によって長山藍子、東てる美、中田喜子、藤岡琢也、野村真美などの橋田ファミリーが……あ、泉ピン子はいないんだね。
その32「翔ぶが如く」につづく。やる気満々です。
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