【昭和象徴】サラリーマンどんと節【植木等】
PART4「配信の背信」はこちら。
60年代はじめのサラリーマンの日常を活写した小津安二郎の映画では、サラリーマンたちは小料理屋の小上がりで昼間からビールの小瓶を飲んで、午後のお勤めに出かけていた。もちろん全員定時に帰る。私の父もそうだった。毎日、同じ電車で出勤し、同じ電車で帰って来た。雨が降ると、駅前には傘を持って父親を迎えに来た子どもたちが並んでいた。今の人には信じられないだろう。だが、人々がこの判で捺したようなルーティンを営んでいる時代に、日本経済は信じられないほどの急角度で成長していたのである。
それはこの時代の日本人がたいへん効率よく仕事をしていたからだと思う。どうして効率が良かったかというと、「査定」や「評価」や「考課」に無駄な時間や手間をかけなかったからである。
……おなじみ、内田樹氏の主張。まったくだと思う。わたしのいる業界でも、膨大な量の時間が査定や評価や考課に注ぎ込まれている。働き方改革とか称するのなら、まず、これらを取っ払ってしまうというのはどうだろう。
ということで本日の1曲はどんと節です。ああその頃のサラリーマンになりたかった。植木等になりたかった。
2021年10月号PART1「投票」につづく。
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