メルヘンのようなタイトルだけれど、蜜柑をたっぷり食べたヒヨドリが実に美味しいというジビエ(狩猟肉)のお話。男ふたりがベストマッチであることを象徴したタイトルだろう。
ある才能を持ちながら、どこかで自分に見切りをつけている男たち。
かたや人里離れた陋屋で狩猟で食べる大男。かたやフレンチのシェフとして優秀なのに、商売がうまくいかないアマチュアハンター。
彼らが組んで、ジビエレストランとして向上していく……というような展開にはならない。動物を食べるということの罪深さ、駆逐する動物へ感謝する行動としての料理……読ませます。チキンさえ食べることができないわたしですら、ジビエ料理は美味しそうだと思えますもの。
もっとも、野生の肉は実に危険な存在で、よほど心してかからないと虫や病原菌にやられてしまうとか、日本で駆除される鹿のほとんどは食べられずに終わっているとか、ダークな部分がしっかり描かれているからこそのすばらしい後味。
近藤史恵は、自転車にしても料理にしてもお掃除!にしても、業界のディープなところをうまくつかんでるなあ。人間は、ビーフとポークとチキンだけを食べるようになったから弱っているという意見にわたしも賛成。あ、おれはチキンもダメだからこんなにグダグダなのかしら。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます